佐々木朗希が塗り替えた「世界最高の投球」、アメリカの評価と「8回降板」の是非
Perfect Pitcher, Perfect Game
トップレベルのプロ野球リーグの歴史上、2試合連続完全試合を成し遂げた投手は存在しない(大学ソフトボールと高校野球には前例がある)。この4月の第3日曜日までは、その可能性を示唆することさえばかげていた。
不可能とされる達成に近年、最も近づいたのは、シカゴ・ホワイトソックスのマーク・バーリーだ。2009年7月に完全試合をし、次に先発した試合で6回2死までパーフェクトピッチングを続けた。
2試合連続ノーヒットノーランは、1938年にシンシナティ・レッズのジョニー・バンダーミーアが達成している。被安打ゼロの記録が止まったのは、その次の先発試合の4イニング目。本人は大いに安心した。「終わってよかった」。バンダーミーアは当時、そう発言した。「久しぶりに、よく眠れるだろう」
岩手県出身の佐々木は悲劇を経験している。11年の東日本大震災で発生した津波で自宅が流され、父親と祖父母を亡くした。今年の3月、佐々木は「11年たっても、つらさや悲しみは消えない」とインタビューで語っている。
日本の野球界では、佐々木は高校時代からスーパースターだ。19年10月に行われたドラフト会議では、4球団から1位指名を受けた。1軍デビューした昨年の成績は3勝2敗で、防御率2.27。今季ははるかに上々で、これまで31イニングを投げて防御率1.16、奪三振数は計56。被安打数7、与四死球3にとどまっている(4月23日時点)。
あの大谷翔平をも超えるか?
佐々木のピッチングをMLBで見たくても、あと数年は待たなければならないだろう。もちろん、本人が望むなら、という条件付きだ。
日本人選手の移籍をめぐるポスティングシステムは極めて複雑で、年齢や所属年数によってさまざまなシナリオがあり、それもいつどう改定されるか分からない。
「二刀流」の大谷翔平が17年に、このシステムを利用してロサンゼルス・エンゼルスに移籍したのは23歳のときだ。おかげで大谷は大金を失った可能性がある。現行制度では、25歳未満の選手には契約金に制限がかけられるためだ。
アメリカンリーグの昨年の最優秀選手賞(MVP)に選出された大谷は、大リーグで誰もしたことがないことをしている。だがその大谷も、佐々木が今回見せた投球内容には及ばない。
次回の先発試合で、佐々木は17イニング連続無安打、52者連続アウトの記録を伸ばすのか(ちなみに、MLBの連続アウト最長記録は46打者だ)。今となっては、それはあり得ないと考えるほうがばかげているかもしれない。
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