暴言に「残酷映像」...カニエ&キムの「三角関係」騒動は、実は笑えないほど深刻
The Darkest Love Triangle
確かに、ウェストの前妻とその新恋人に対する攻撃には、メンタルヘルスの問題が影響している。彼の症状が深刻化したのは、16年のツアー中に精神科救急に運び込まれた頃からとされる。19年には、その入院が自分の意思に反していたことや、過去3年間薬物療法を続けていることを語っている。
それ以来、ウェストが何か問題を起こすと、「ちゃんと薬を飲んでいないに違いない」で片付けられるようになった。このように、「いじめっこ」にはメンタルヘルスの問題がいいように利用される一方で、被害者であるデビッドソンやカーダシアンの精神状態はほぼ無視されてきた。
だが、この三角関係で誰よりも擁護される資格があるのは、シングルマザーとして4人の子供を育てているカーダシアンだ。新しい恋人ができるたびに、前夫に公然と虐待に近い口撃を受けるのではたまらない(しかもウェスト自身は既に複数のガールフレンドが浮上してきた)。
どうにかカーダシアンとよりを戻したいウェストにとって、それはつらいことかもしれないが、過去を整理して前に進みたいカーダシアンにとっても嫌がらせはつらい。
ウェストが公開した度を越えた残酷MV
3月2日、裁判所がカーダシアンを「法的に単身者である」と宣言したことが報じられた。カーダシアンとデビッドソンとの関係が報じられた直後の昨年11月、離婚裁判が決着していない以上、カーダシアンは法的には「まだオレの妻だ」とウェストが公言したことを受け、翌月にカーダシアンが裁判所に宣言を申し立てていた(財産分与などの詳細を詰めるために、離婚手続きそのものは続いている)。
その数時間後、ウェストは自らが参加したザ・ゲームのシングル「イージー」のミュージックビデオ(MV)を公開した。1月に曲が発表されたときは、「神はこの打撃からオレを救ってくれた/ピート・デビッドソンのケツをぶったたけるように」という嫉妬全開の歌詞が注目を集めた。
MVは全編白黒で、クレイアニメ(粘土を使ったストップモーションアニメ)を使った不気味なもの。この中で明らかにウェストとおぼしき人物が、デビッドソンとおぼしき人物を泥が詰まった棺桶に生き埋めにする。
デビッドソンの頭は泥から突き出しているが、ゾッとする映像であることに変わりはない。そこに「そしてみんな末長く幸せに暮らしましたとさ」という文字が映し出される。さらに最後に、「冗談だって。あいつは大丈夫さ」と。
このMVが、猛烈な批判を浴びたのは言うまでもない。こうした行為は、独占欲が強くて虐待癖がある人間が、誰かとの関係を操るために取る戦術であり、そのパートナーがずるずると関係を続けてしまったり、トラウマを抱えたりする原因となる。
加害者と被害者の両方が有名人だからといって、この事実は変わらない。問題の解決は容易ではないが、メンタルヘルスを理由に暴挙を放置し続ければ、悲劇的な結果がもたらされる可能性は十分あることを忘れてはならない。
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