きざなイケメン俳優が、「一流」になるために必要だった「屈辱」
No More Mr. Nice Guy
『レッド・ノーティス』のように、スター俳優が2000万ドルのギャラをもらい愛嬌だけで乗り切っているにおいがプンプンする駄作は、その戦略だけでは救えない。だが見るべきものがほとんどないからこそ、レイノルズの意図がよりはっきりと見えてくる。
レイノルズが演じるのは、不誠実な詐欺師。彼はドウェイン・ジョンソン演じるFBI捜査官と、ガル・ガドット演じる美術品泥棒(彼女のおかげでレイノルズは「世界2位の指名手配犯」だ)をなんとか出し抜こうとしている。
でも、彼は自分で思っているほど賢くない。一つの罠を逃れても、その後でもっと大きな罠に足を踏み入れる。それでも何度も立ち上がり、また打ちのめされる――。私たちは、そんなレイノルズを飽きずにずっと見ていられる。
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