最新記事

インタビュー

「ぼっち」の若者役で全米の共感を呼んだベン・プラット「誰もが感情移入できる」

Broadly Sharing Evan’s Story

2021年10月13日(水)17時38分
H・アラン・スコット
ベン・プラット

演技力と歌唱力は折り紙つき。俳優業に加え、シンガーソングライターとしても活躍中だ TIBRINA HOBSONーFILMMAGIC/GETTY IMAGES

<大ヒットミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の映画版にも主演した若手俳優ベン・プラットの素顔>

友達のいない孤独な若者が、善意でついた嘘がきっかけで同級生や親たちを巻き込んで思いがけないドラマが展開する......。でのやりとりも取り入れた、いかにも現代的なミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』は幅広い層の共感を呼び、ブロードウェイで大ヒットした。

舞台版で主人公のエヴァンを演じ、トニー賞主演男優賞に輝いたベン・プラットは同題の映画(日本公開は11月26日)でも主役を演じたが、映画化には当初不安があったと言う。舞台で「パワフルに、ガツンと心に響くように演じた物語」を映画の形でうまく届けられるだろうか......。

そんな心配は杞憂だった。人物の微妙な表情の変化も見て取れる映画では、舞台以上に「観客はエヴァンの内面に入り込みやすくなった」と、プラットは言う。

エヴァンには誰でも感情移入できると、彼はみる。「誰でもふとしたことがきっかけで自分には居場所がない、人とつながれないと感じるものだから」

映画について、そして最新アルバムについて、本誌のH・アラン・スコットが話を聞いた。

――人気ミュージカルの映画版に出ることにためらいは?

あった。素晴らしい作品だし、やりがいもあったが、演じるのはかなりハードだったからね。感情的にも肉体的にも。でも映画になれば、もっと多くの人に見てもらえる。そのワクワク感のほうが大きかった。

――キャストも豪華だ。特に同級生の母親役のエイミー・アダムスとエヴァンの母親役のジュリアン・ムーア。彼女たちと共演してどうだった?

すごくいい経験になった。2人とも心から仕事を愛し、楽しんでいた。僕も何かをつくる仕事を長く続けていきたいから大いに刺激を受けた。

――この作品にはメンタルヘルスや不安についてのせりふも多いが、歌にすればセンシティブな問題を扱いやすい?

この作品に限らずミュージカルでは、扱いにくいことや耐え難いこと、心が痛くなるような事柄に光を当てたり、掘り下げたりできる。(歌にすることで)そうした問題も抵抗なく受け入れられ、すんなり観客の心に入っていく。

――アメリカで8月にリリースされたアルバム『レバリー』に託した思いは?

大きなテーマが2つある。コロナ禍の最中に一番強く感じた事柄だ。1つはパートナーの(俳優の)ノア(・ガルビン)に恋したこと。もう1つは実家に戻って子供の頃の自分の部屋で暮らすようになったこと。昔の自分に再会したような体験だった。

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中