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エネルギー洋上風力発電を船で輸送 ZOZOスーツ開発した男が仕掛ける新事業
「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」などの開発を手掛けた元ZOZOCOO(最高執行責任者)の伊藤正裕氏が、再生エネルギー分野で新事業を仕掛ける。写真は風力発電設備。英フロッドシャムで昨年4月撮影(2021年 ロイター/Molly Darlington)
「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」などの開発を手掛けた元ZOZOCOO(最高執行責任者)の伊藤正裕氏が、再生エネルギー分野で新事業を仕掛ける。伊藤氏がCEO(最高経営責任者)を務める「パワーエックス」(東京都港区)は、洋上風力で生み出した電力を輸送する「電気運搬船」と「蓄電池工場」を事業の柱とする。
伊藤氏は「テクノロジーで日本の、世界の役に立ちたいとずっと考えていた」と話した。事業の具体的な構想は1年程度前から練っていたという。
政府は、2050年のカーボンニュートラルに向けて、洋上風力が有力な手段の一つになるとみている。洋上風力は、2030年までに1000万Kw、40年までに3000万―4500万Kwの案件形成を目標としている。
課題となっているのは、海上で発電した電力をどのようにして消費地に運ぶか。パワーエックス社は、バッテリーに直接蓄電し、自社開発の電気運搬船で洋上から変電設備まで運搬することを目指す。伊藤氏は「海底ケーブルはコストや時間がかかるし、環境面でも問題が起きる。運搬船がケーブルの代わりになる」と説明する。また、海上を電気運搬船が航行することで、災害時には非常用電源として活用することができる。会長に就任したヘリオスの鍵本忠尚CEOは「電気で救える命がある」と、電気運搬船の有用性を語っている。
電気運搬船は25年までに初号船の開発を行う計画。伊藤氏は「25年に1隻作って実証実験を行った後は、世界中に展開したい」と話している。
この事業が軌道に乗るまでは、蓄電池事業が先行することになる。同社の電池事業は、セル製造ではなく、船舶用電池、電気自動車(EV)急速充電器用電池、グリッド電池などの大型蓄電池のパッケージングを行う。22年に100億円前後を投じて、工場建設を開始。24年に1GWhでスタートする。電池を利用する先や、電池を使ってサービスを展開しようとする先などと資本業務提携も考えている。
同社の社外取締役として、スウェーデンに拠点を置く蓄電池ベンチャーNorthvoltの創設者兼COOのパオロ・セルッティ氏、元グーグル幹部のシーザー・セングプタ氏、米ゴールドマン・サックス元パートナーのマーク・ターセク氏が就任している。
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