最新記事

韓国映画

コン・ユ&パク・ボゴム主演の話題作『SEOBOK/ソボク』のイ・ヨンジュ監督に聞く

2021年7月17日(土)12時56分
大橋 希(本誌記者)

――『建築学概論』は恋愛もの、『不信地獄』はホラー、『ソボク』はSFスリラーと言っていいか分かりませんが、また違うジャンルです。撮っていていちばん楽しめるジャンルは?

私としては、「ジャンル」というのは作り手にはあまり意味がないもので、見る人の便宜を図るための分類法なのかなと思っています。少なくとも私はそう考えています。特にSFというジャンルは、私にとっては不思議なものに思える。

恋愛ものは愛に関する感情を描いてるとか、ホラーだったら恐怖を描いてるとか、ほかにもドラマやアクションといったSF以外のジャンルならちょっとは納得できます。

でもSFはサイエンス・フィクション(空想科学小説)。今の科学技術を生かしたり、宇宙船が出てきたりもするかもしれませんが、いずれも美術の側面が強い。SFの中にもホラーがあったり、恋愛ものがあったりする気がします。

だから私はジャンルを決めずに作っていきます。そして、見た人が決めてくれたらいいなと思います。

――『ソボク』の脚本を書き始めたのは2013年。公開まで長い時間がかかったのは、『建築学概論』のヒットがプレッシャーになったから?

それは明らかにあったと思います。プレッシャーはとても大きかったです。『建築学概論』を引きずらずに、「次はこうだ」と確信をもって脚本を書きたいと思っていましたが、どうしてもプレッシャーを感じてしまいました。

脚本を書くときに真剣になり過ぎたり、「よし、覚悟を決めて書くぞ」なとど肩に力が入り過ぎると、逆にうまく作業が進まないのかなと思いました。ピッチャーが肩の力を抜くといい球が投げられるのと同じように、次はもう少し軽い気持ちで作ってみようと思っています。

210717web_on03.jpg

ソボクとギホンは逃避行のうちに心を通わせていく ©2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED

――『ソボク』は二大俳優が共演する話題の韓国映画として日本でも公開を待ち望む声は多かったです。第四次韓流ブームと言われる日本の状況をどう見ていますか。

実は、第四次韓流ブームについてはあまり知らなかったんです。でも今に限らず、映像作品や音楽は日韓が互いに楽しめるもので、私自身も日本の映画はよく見ています。今はあまり両国の関係がよくなくて残念ですが、今後はますます日韓の交流が盛んになってくれたらと願っています。

――日本の映画で好きな作品は?

いろいろとありますよ。ちょうど今、是枝裕和監督が韓国で映画を撮っていますが、例えば彼の作品はよく見ていますし、岩井俊二監督の作品も好きです。昔の映画もよく見ますし、先日は『関ヶ原』を見ました。

あとは子供の頃から日本の漫画やアニメが好きで、『エヴァンゲリオン』とか、『建築学概論』の宣伝で日本に行った時には映画館で『009 RE:CYBORG』を見ました。この時には字幕がなかったので絵だけ楽しみましたが、その後、韓国語の字幕入りをもう一度鑑賞しました。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中