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インタビュー

「新しい刺激」に飢えた、若き表現者・村上虹郎。

2021年1月8日(金)11時30分
撮影:タカコノエル 文:佐野慎悟 ※Pen Onlineより転載

自分が本当に欲することに、素直でありたい。

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自分が演じる役柄に対して、村上の中で決まったアプローチはない。「毎回役と出会ってみて、脚本や媒体、スケール感、準備期間などを俯瞰で見て、どう向き合っていくのが最適なのか、その都度考えてアプローチしています」

──いろんなことに興味を広げながら、本業でもしっかりと実績を重ねていて、日々インプットしていく情報の量が凄そうですね(笑)。

村上: そんなことないですよ。自分が欲している時はそれこそ浴びるように勉強するけど、まったくなにもインプットしない時ももちろんあります。最近もコロナの影響で家にいる時間が多かったですが、この機会にゴダールの作品を見返して理解しようとか、サミュエル・ベケット、イプセン、太宰を読み返そうとか、いろいろ考えたんです。でもぜんぜんやらないんです(笑)。ずっと携帯ゲームをやっちゃうんですよ。だからもう、あえてだらだら過ごしてやりました。僕はいつも、これが欲しい! とか、これが気持ちいい! っていう感覚を大事にしているから、逆に勉強だと思って向き合ってしまうと、それが自分にとって本当に必要なものなのか、いま吸収すべきものなのか、その重要な部分を見失ってしまうかもしれません。

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驚くほどに自然体で、まったく気負いを感じさせない村上。自分の魂に忠実であることが、彼の中ではなによりも優先されるべきこと。そんな村上の言葉や芝居には、どこまでも嘘がない。

──デビューから6年。役者としての実績と存在感を着実に高めていますが、なにか今後について、具体的な目標はお持ちですか?

村上: あまり目標をたてたことがないんですよね。いまはそれこそいろんなものを見て、いろんな経験をして、自分の中に蓄積させている段階です。それこそ、僕のデビュー作の映画『2つ目の窓』で高崎映画祭の新人賞をいただいたんですが、その時に受け取った高崎ダルマには、まだ片目も入れていない状態です。スタートラインにも立っていない状態だから、目標とするゴールもない。ただ、最近になって、実はひとつ、やりたいと思えることができたんですよね。やっぱこれだなって。まだ誰にも言うつもりはありませんが(笑)。

衣装:シャツ¥117,700(税込)、パンツ¥50,600(税込)/ともにヨウジヤマモト(ヨウジヤマモト プレスルームTEL:03-5463-1500) 他は私物


虹の刻
 村上虹郎/山田智和 著
 CCCメディアハウス
 ¥3,080(税込)
 2020年12月24日(木)発売。

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

※村上虹郎サイン入りポスターを30名様にプレゼント。詳細はこちらから↓
http://books.cccmh.co.jp/news/2020/11/post-86.php


村上虹郎
1997年、東京都生まれ。俳優の村上淳とアーティストのUAを両親に持ち、東京、大阪、沖縄、カナダと、さまざまな地域で異なる刺激を受けながら育つ。2014年、映画『2つ目の窓』で映画初出演にして主演を務め、同作品で高崎映画祭・最優秀新人男優賞を受賞。17年の映画『武曲 MUKOKU』にて、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。20年12月24日にコンセプトフォトブック『虹の刻(にじのこく)』(CCCメディアハウス)が発売。21年10月公開予定の映画『燃えよ剣』では、幕末の土佐藩郷士・岡田以蔵を演じる。

●ツイッター @_N_____M
●インスタグラム @rainbowsan

※2020.12.25

※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。
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