最新記事

映画

コロナで劇場公開断念したディズニー「ムーラン」 香港デモやウイグル問題で炎上しつつ華咲くことはできるか?

2020年9月12日(土)19時21分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

今年3月ヨーロッパ・プレミアに登場した『ムーラン』主演のリウ・イーフェイ(中央)とニキ・カーロ監督 REUTERS/Henry Nicholls

<「アナ雪」「アラジン」「女と野獣」といったディズニー作品は子供たちが劇場公開を楽しみにする作品。だが今度の新作は、なぜか作品以外のことが話題になって──>

今年は世界中に新型コロナウイルスの感染が拡大すると共に、様々な映画作品に影響が出てしまった。特に世界的ヒットが見込まれると期待された『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『ワイルドスピード9』など大作であればあるほど、映画館への客足が遠のいた状態で公開することはできないという判断で、次々と延期が発表されている。それにより映画館の上映スケジュールは世界的に大幅に狂ったままの状態だ。

そんななか、コロナの影響を大きく受けてしまった被害作品の1つといえば、ディズニーが満を持して公開するはずだった『ムーラン』だろう。そして今、この作品をめぐって次々と問題が浮上していることをご存じだろうか。

ディズニープリンセス初のアジア系ヒロイン

今年公開予定だった映画『ムーラン』は、ディズニーが1998年に制作し、中国を舞台にした劇場用アニメーションの実写リメイク版である。88年のアニメは、中国の伝説「花木蘭」をベースにしたストーリーで、「ディズニーアニメに初のアジア人ヒロインが登場する」と、公開当時かなり話題となった。武術を得意とする強いヒロイン像は、現代的では人気を集めるだろうキャラクターだ。

ディズニーはここ数年、アニメ作品の実写化が増えているが、『ムーラン』もそのうちの1本だった。本来、今年の3月27日に全米公開が予定されていたが、ご存じの通りコロナウイルスのパンデミックにより7月24日に公開延期が告知された。

ところが、その後8月にはアメリカ・日本など一部の国の劇場公開を断念するという発表があり、なんと劇場公開無しでディズニーの定額ネット配信サービスである「Disney+」での配信が決定した。この発表には、当然のことながら国内外の多くの映画館オーナーらが反発し注目を集めることとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中