デーブ・スペクター「日本がオリンピックを美化するのはテレビのせい」

2020年3月28日(土)20時00分
小暮聡子(本誌記者)

日本のテレビ局での出世道は、スポーツ部。スポーツに詳しい人という意味ではなくて、億単位という桁違いのスポーツ放送権を交渉して契約を取ってくる人。今の日本にとって、オリンピックに限らずスポーツの放送権は巨大なビジネスになっている。

ちなみに、昔はそれが洋画だった。日本で初めてこの洋画の放映権を取りました!と言ったものだが、ストリーミング時代の今は地上波の「ナントカ劇場」で洋画を観る必要がなくなった。

――日本でもアメリカでもテレビを観なくなっている今の時代に、スポーツは視聴率の取れる、売れるコンテンツだと。

そうだ。アメリカでまだ視聴率が取れる方なのは、リアリティー番組と、『アメリカン・アイドル』みたいな勝ち抜き番組と、スポーツだ。

とはいえアメリカの場合は、オリンピックを除くアマチュアスポーツの大半は、地上波ではなくケーブル局で放送している。大きな大会は地上波でもローカル局でもやるが、それ以外はESPNなどの(ケーブル局の)スポーツチャンネルで放送する。

オリンピックについて言えば、アメリカで放送権の全権を持つのがNBCだ。NBCにとって五輪中継は局の看板番組であり、五輪と言えばNBC、というブランド価値がある。局が買収されたりするときも、「五輪中継のNBC」というのは大きい。

ただ今のアメリカで、どれくらいの人がオリンピックを観るのかは分からない。オリンピックは4年に1度だが、この4年間でテレビを取り巻く状況は様変わりし、ストリーミングでの視聴がものすごく増えた。

そもそもアメリカ人は夏はバケーションで外に行ってしまい、テレビを観る人が少ない。そのため夏は再放送ばかりなので、逆に言えばみんな新しいものを観たがっており、オリンピックはある意味では魅力的なコンテンツだ。

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