デーブ・スペクター「日本がオリンピックを美化するのはテレビのせい」
東京都内のスペクター・コミュニケーションズ社でインタビューに応じるデーブ・スペクター HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN
<東京五輪の延期が発表されたが、テレビがオリンピックを「国民的行事」として盛り上げるのは日本特有の現象なのか。日米のテレビ業界に詳しいデーブ・スペクターに独占インタビューした。「日本のテレビはアマチュア選手をよいしょしすぎ」そして「松岡修造はあのテンションを維持できるのか」>
――東京オリンピックの開催延期がついに決まったが、デーブさん自身は東京五輪を楽しみにしていたか。
していない。そもそも何のためにオリンピックを開催するのかが良く分からない。純粋にスポーツの大会だとしたら、3時間の開会式なんていらない。他のスポーツの世界大会でそんなことやっていない。
(人気ミュージシャンが30分近くパフォーマンスを行うNFLの)スーパーボウルのハーフタイムショーはあるが、あれはCMを入れなきゃいけないし休憩が必要だからで、本来、スポーツ競技の大会に大げさな開会式なんていらないだろう。
平和のための開会式だというが、オリンピックを開催して世界のどこが平和になっているというのか。24時間テレビと同じだ。やっても地球は救われていない。
現代のオリンピックは、美化されていて、白々しさがある。お金もかかりすぎだし、若者をつなぎとめるために種目を増やしたりと、無理してやっていると思う。
僕は、各種目の世界選手権があれば、それだけでいいと思う。少なくともオリンピックは、こんなにお金をかけずに縮小すべき。
――日本とアメリカで、オリンピックに対する関心の高さに違いはあるか。
日本においても、みんなが本当に興味を持っているのかという分析はされていないと思う。「興味を持て」と言われているように感じるし、ラグビーW杯と一緒でにわかファンもいるだろう。始まってからは特に、話題になっているので見ないと悪いなと思ってしまう。
日本の場合はテレビ各局が持ち回りで放送するので、NHK含め各局で盛り上げないといけない。人気タレントを使ったりして。オリンピックを持ち上げる番組を作ってずっとプロモーションするので、応援しなきゃいけない空気になっていく。