韓国ドラマの中のセクシャルマイノリティー
人気俳優パク・ソジュン最新作は性同一性や人種問題も
また人気俳優パク・ソジュンの最新作としてJTBCが放送、Netflixが全世界同時配信している『梨泰院クラス』では、主人公がオープンする居酒屋で料理を任されているコックがトランスジェンダーという設定だ。
世間の目を心配する店のマネージャーや同僚との確執や、後に表沙汰となり差別的な世間に打ち勝つ姿が描かれている。ちなみに、このドラマでは韓国とギニアのハーフの男性がアルバイト役として登場する。見た目は完全に外国人だが、本人は韓国人だと主張する彼は、その皮膚の色のせいで人種差別を受ける。このようにドラマでは様々なマイノリティーの人々の心情や、アイデンティティについてのエピソードが分かりやすく登場し、それが若者を中心に共感を得ているようだ。
これまでも、少数ながらセクシャルマイノリティーのキャラクターをドラマに登場させる試みは見られたが、まだ受け入れられない人々の声も聞かれた。例えば、SBSで2010年3月から11月まで63話放送されたドラマ『美しき人生』では、放送中止を求める団体の抗議活動行われ、それは放送終了後1年以上も続いたと言われている。
また、その翌年には10代から50代までの同性愛をテーマにしたドラマ『クラブBilitisの娘たち』がKBS 2TVで放送されると、放送終了後から苦情の電話やネットの書き込みが続き、その後ネットのオンデマンド放送欄から締め出されてしまった。
儒教や宗教の倫理観が強い韓国社会
どうしてこれまで韓国では、映画に比べドラマではあまりセクシャルマイノリティーの姿を描いてこなかったのだろうか?
まず、1つにはTVのレーティングの厳しさがある。TVは映画と違って誰でも簡単に見られてしまうため、不適切と思われるものは排除してきた。例えば、映画では喫煙シーンが映っていても問題ないが、地上波では喫煙する姿は放送できないため、その映画を放送する際には、たばこの部分にモザイクがかけられている。
さらに、韓国では今でも男子だけに徴兵制度があるため、十代後半から二十代にかけてはっきりと性別を認識する時期がやってくる。このとき、男か女か、2つの性にしっかりと線引きがされてしまうのだ。
そのうえ、儒教的倫理観が根強く、今でも保守的な考えをもつ人が多いのも確かだ。特に年功序列や教師を敬う考えは今も強い。さらに、韓国では多くのキリスト教会が存在するが、その中の一部の人たちは同性愛自体に嫌悪感をもち、激しく抗議している場合がある。
日本留学中の韓国人の友人は、日本のドラマ『俺のスカート、どこ行った?』は韓国では考えられない!と驚愕していた。このドラマの主人公は同性愛者で女装家の男性教師である。