韓国ドラマの中のセクシャルマイノリティー
トランスジェンダーやアフリカ系2世などが登場する韓国ドラマ『梨泰院クラス』 KOREA NOW
<世界的にLGBTQに注目が集まるなか、ステレオタイプな恋愛が多かった韓流ドラマにも変化の兆しが>
日本では、同性愛やセクシャルマイノリティーを扱ったドラマは多く作られてきた。設定対象の年齢も幅広く、最近でいえば30代から中年の同性愛を扱った『おっさんずラブ』がヒットし、ドラマだけでなく映画やシーズン2まで登場した。また、『3年B組金八先生』第6シリーズでは、中学生が性同一性障害に悩むキャラクターを上戸彩が演じ話題となった。
韓国でも映画界ではセクシャルマイノリティについての作品が作られ、それらを集めた映画祭「ソウル国際プライド映画祭」も開催されている。さらに韓国の政府機関、両性平等教育振興院では、フィルム×ジェンダープロジェクトとして公募で募った短編映画シナリオの中から2作に2000万ウォンの制作支援金を支給する企画まで存在する。
一方、韓国ドラマでは、これまでセクシャルマイノリティーを扱った作品は少なく、脇役として登場したとしても、大げさな身振りや衣装で誇張された三枚目キャラクターとしての扱いが多かった。
しかし、もうそんな演出も過去のものになりつつあるようだ。最近になって単なるお笑い担当ではなく、彼らの苦悩や葛藤を上手にストーリーに織り込んだ韓国ドラマが増えてきたように感じる。これらのドラマの中では他の主人公らと同じように悩み、恋愛をし、成長していく役としてもっと自然に表現されている。
少女時代のソヒョンも同性愛役を
こういったテレビドラマの流れは、数年前から始まっていたが、昨年から急激に作品数が増えている。去年10月に放送されたKBS 2のスペシャルドラマ『なんでまた子供が見ちゃった(原題)』では、女性になりたい男性と12歳の少女との交流が描かれ話題となった。
また、年末にはtvN にて、性転換手術を受けたトランスジェンダーの叔父と甥っ子の生活を描いた『叔父さんはオードリー・ヘップバーン』が放送されている。さらに、今年の2月17・18日2夜連続放映されたJTBCのオムニバスドラマ『アンニョン ドラキュラ(原題)』では、K-POPアイドルグループ少女時代のソヒョンが、同性である女性を好きになってしまい、それを理解できない母との軋轢を描いた物語だった。
この3作品ともドラマスペシャルという1話完結や前後2話構成のみの作品だったが、連続ドラマでもセクシャルマイノリティーを扱った作品が増えている。去年の11月末から今年の1月にかけて放送されたMBC連続ドラマ『瑕疵ある人間達(原題)』では、登場人物の一人が同性愛者の役で登場し、その恋愛過程が描かれている。