新型コロナウイルスにジェームズ・ボンドも倒れる? 新作から映画祭までコロナショックに飲み込まれた映画界
『パラサイト』アカデミー受賞に沸いた韓国映画界だったが
2020年はポンジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー4冠を受賞し、韓国映画界にとって最高の滑り出しとなった。しかし、その直後コロナウイルスの影響で映画は次々と公開延期を発表している。もちろん映画祭にも大きな影響が出てきている。
韓国のアカデミーともいわれる第56回大鐘賞は、先月25日開催予定だったが延期を発表した。開催時期については、韓国内のコロナウイルスの状況を見て落ち着いたら行うとしている。
さらに、今月22日開催予定だったドキュメンタリー映画による映画祭「インディードキュフェスティバル2020」は5月28日に変更された。続いて、4月3日に予定されていた山に特化した映画祭「第5回蔚州世界山岳映画祭」は、10月23日からの開催に延期を発表している。
続いて、釜山映画祭、富川映画祭と並んで韓国三大映画祭の一つとされる「第21回全州国際映画祭」は4月30日を予定していたが、現在保留状態だ。今月9日に今後の日程を公式発表する。
当初4月22日を予定していた「釜山国際短編映画祭」は、延期する計画だがはっきりとした日程は調整中である。ただし、ボランティア募集の締め切りは1週間から10日ほど延ばすと発表した。韓国の映画祭はボランティアが支えていると言っても過言ではない。
かつて筆者が招待したある日本人映画監督も、インタビューで「釜山映画祭で心に残っていることは?」と言う質問に「ボランティアの皆さん」と答えるほど印象的で、皆一生懸命で映画への愛があふれている。映画祭が今年の後半に集中してしまうと、そんなボランティアの確保も難しくなる可能性がある。
唯一好調なネットフリックス株
一方で、多くの人々が外出を控え、映画を自宅で楽しむようになったためストリーミングサービス業界は好調のようだ。ニューヨーク証券市場では、ネットフリックスが17.8%の株高を記録した。前分岐では新規加入者数が880万人を超えたが、コロナウイルスの感染拡大で引きこもり生活が長引けば、さらに世界規模で加入者が増えるだろうと見込まれている。
これから、まだしばらくは映画界のコロナショックが続くとみられる。テレビでは毎日暗い話題ばかりで、次々と入ってくる速報を見ていると、まるで自分がパンデミック系のサスペンス映画の中にいるのではないかと錯覚してしまう。早く世界中できらびやかなレッドカーペットの映像が画面に映しだされるのを見てみたいものだが、それはまだしばらく先になりそうだ。