最新記事

映画

トランプが韓国映画『パラサイト』アカデミー受賞にケチ? 多様性認めぬアラ探し、映画界の外野から

2020年2月24日(月)19時12分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

アカデミー賞を制覇した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督とプロデューサーのクァク・シネ、出演者たち。監督たちはアカデミー賞に向け6カ月間で600回以上のインタビュー、100回以上の観客とのティーチインを行ったという。 REUTERS

<アカデミー賞史上初の外国語映画で作品賞受賞となった『パラサイト 半地下の家族』。だが、アジア映画がハリウッドの祭典で頂点に輝くことを快く思わない人たちもいた──>

第92回アカデミー賞で「作品賞」「監督賞」「国際長編映画賞」「脚本賞」に輝いた韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の勢いが止まらない。

韓国映画史を塗り替えたのはもちろんのこと、24日には日本での興行収入30億円を突破し、これまで1位だった『私の頭の中の消しゴム』を超え15年ぶりに観客動員数記録更新となった。

このタイミングで23日にはポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホ氏が昨年12月に続き再来日し、日本記者クラブで会見が開かれた。さらに、翌24日には日本の映画ファンと直接顔をあわせる舞台挨拶が2度行われ、二人のファンだという草なぎ剛も登場するサプライズもあり会場は熱気に包まれた。

アメリカでも注目集めるが、一部の人は......

アメリカでもオスカー受賞後、同作品は大きな注目を集め、チケットの売り上げがうなぎのぼりだ。公開スクリーン数は2000を超え、それまで外国映画に馴染みがなく観たことがなかった人にも、アジア映画に触れるいい機会を作ってくれた。

これこそが、ポン・ジュノ監督が再三インタビューで語っている、映画が繋いでいく世界の垣根をも取っ払ってしまう奇跡なのだろうと改めて感じさせられた。
しかし、そんな中、今回の受賞に物言いを付ける人物が現れた。それはなんと、ドナルド・トランプ大統領だ。

今月21日、ネバダ州ラスベガスで行われた演説でトランプ大統領は「今年のアカデミー賞受賞作は韓国映画だった。これは一体何事だ」と語り始め、「彼ら(韓国人)は、貿易と関連し我々に打撃をくらわせている。その上忌々しい(freaking)な映画でアカデミー賞を乗っ取った」と公言した。

トランプ大統領は、この演説の前日20日にコロラド州スプリングスでの演説でも「今年のアカデミー賞授賞式はどれほど無茶苦茶だったか」と語り、『風と共に去りぬ』『サンセット大通り』のようなアメリカ映画がオスカーを受賞すべきだと主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が

ビジネス

カナダ、63億加ドルの物価高対策発表 25年総選挙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中