最新記事

ユーチューバー

BTSと共演した韓国人気子役がYouTubeで炎上 虐待されたのは猫か少女か?

2020年2月8日(土)16時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

放送とネットでの児童出演者を保護へ

テレビと違い、個人が動画コンテンツを制作することが一般的になったのはここ数年のことだ。そのために、法の規制が追い付いていなかった部分が多く、抜け穴も多かった。ここ数年、韓国でもYouTubeなどでの児童の過激動画が問題視されてきた。

このような事態から子供を守らなくてはならないと、韓国では政府が動きはじめている。昨年、韓国放送通信委員会は、児童・青少年出演者の権利保障のための標準ガイドラインを制定することを発表した。これによると、児童出演者の労働基準はもちろん、身体接触の禁止や不適切な言語の使用禁止についても取り締まるようだ。

先月14日、ソウル市庁舎で開かれたガイドラインの検討会合で、ハン・サンヒョック放送通信委員長は「児童・青少年保護問題は、脆弱階層の人権の問題であり、必ず守られなければならない」「放送事業者だけではなく、今後YouTube上でもこの原則が守られるようにしていく」と述べた。

動画チャンネルを管理する親の注意と意識が重要

1人1メディアと言われる時代に入り、自ら配信できるツールが増えてくると、ネット上では動物虐待の動画や写真の投稿がじわじわと増えだし問題になっている。

昨年の夏には韓国のあるYouTuberが生配信中に飼い犬のしつけについて語りだし、犬の顔を殴る、手足を掴みベッドに叩きつけるなどを実演して見せた。その配信を見ていた視聴者は警察に通報し、YouTuberに警察の調査が入り犬は保護された。しかし、怒りの収まらない国民らが政府に訴えを投稿できる大統領府の国民請願掲示板に「動物虐待処罰・有害ユーチューブ取り締まり強化」の訴えが上がり、20万人以上の署名が集まった。

また、アメリカでもNetflixで『猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を追え』というドキュメンタリーシリーズが放送され話題になった。これは、動物虐待者が投稿した猫殺しの動画を元に、ネット住民たちがわずかな証拠を集め追い詰めていく対決を描いた作品だ。

さて、今回のサランちゃんの動画炎上事件だが、筆者も実際にこの動画を見るまでは、「またネット上で皆が大げさに反応しているだけで、実際は子供が猫に強めにじゃれているぐらいなのだろう」と思っていた。しかし、実際の動画を見ると、猫の顔を叩く動作をし、抱き上げて軽く投げている。いくら子供がした事だと言っても不快感を持ってしまうほどだった。プロのスタッフではなく親が撮影をしていて、作られたセットではなく生活の中での出来事だ。猫を飼っている筆者を含め、愛猫家達が心配に感じてしまうのもうなずける。

今回、サランちゃんちゃんは、意図した部分以外で注目を浴びる結果となってしまった。演出ではなく日常を切り取って制作された動画だからこそ、TVよりさらにサランちゃんが飼い猫にいつもこのような態度を取っているのではないかと視聴者に想像させてしまう。だからこそ、撮影しチャンネルにアップロードした親は、クリックする前にもう一度内容を考えて配信をするべきだっただろう。これから未来のあるまだ幼い我が子をネット上で攻撃されないためにも、今一度しっかり考えて行動すべきだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中