告発する国、韓国 MeTooから拡大、芸能人の「黒歴史」暴かれる
有名人の親族だからと安心させての借金
ビッ(借金)Tooという言葉も、広がったのは芸能人への暴露からだった。兄弟ラッパーMicrodotとサンチェスの両親が、1998年に地元の数人に20億ウォン(約1億8500万円)もの詐欺を働き、その後も返済をしないままニュージーランドへ逃亡したことが明らかになった。最終的に両親は国際手配され、帰国後に逮捕となったが、この騒ぎでMicrodotとサンチェスの兄弟はTV出演自粛やレギュラー降板を余儀なくされた。
また、ハリウッド映画『ニンジャ・アサシン』に主演、日本でもCDをリリースするなど活躍している歌手のピ(RAIN)は、母親の借金未払いを告発された。こちらはお金を貸した当事者が、政府に直接意見を求める「国民請願」に訴えを投稿し波紋が広がった。最終的に、ピ(RAIN)の父親が当事者と会って円満解決するように見えたが、当事者の書類不備と暴言をはじめとした名誉毀損を理由に逆に告訴するなど立場が逆転し話題となった。
映画『新感染:ファイナル・エクスプレス』などで日本にも多くのファンがいる俳優のマ・ドンソクは父親の借金で訴えられた過去がある。83歳のおばあさんの老後資金5億ウォンを騙し取ったとし、裁判を通じ合意の上解決している。マ・ドンソクも父親の不祥事とはいえ、謝罪文を発表した。また、多くのTVドラマや映画に出演し、日本でも根強い人気を持つベテラン女優のキム・ヘスは、母親が原因で13億ウォンのビッ(借金)Tooを訴えられた。しかし、彼女はそれ以前から母親の多額の負債を肩代わりして、8年前に絶縁し連絡を絶っていたという。このため世論はキム・ヘスの責任はないと同情を示した。
助け合う絆の強さが災いして
日本と異なり韓国は家族や友人の間での貸し借りが多く、それは日用品から洋服、そしてお金とあらゆるものが気軽に貸し借りされる。日用品程度ならトラブルにはならないが、お金ともなると金額によっては訴訟沙汰になってしまう。しかも芸能人など名の知られた人の場合、本人が借りた場合だけではなく、親兄弟の金銭問題に巻き込まれイメージダウンになってしまう事例が多くみられる。
それだけ絆が強く、信じあっているのだろうが、このように問題次々と明るみになっている状況を見ると、お金の貸し借りに関してもう少しシビアになるべきだと思う。お互い助け合うのは大事だが、金銭トラブルは本人だけでなく、芸能人となった子供にまで影響しているのだから。