日韓関係悪化のさなかアジアを代表する釜山国際映画祭開催 日本映画はどうなる?
日本映画のボイコットは?
さて、気になるのは、ここ最近の日韓関係悪化に伴う映画祭での日本映画に対する影響だ。日本政府による韓国向け半導体材料の輸出規制が明らかになった当初の7〜8月頃には、韓国でも人気だった日本アニメ映画の公開が見送られる問題や、映画祭で映画が上映されるか否かでニュースに大きく取り上げられ、映画祭委員長がSNSにて上映に対する映画祭側の意見を公表するなど、映画界にも少なからず日韓関係の亀裂が入ろうとしていた。
釜山国際映画祭では、毎年短編映画から商業大作映画まで様ざまな日本映画が上映され、さらに日本人監督や俳優たちも数多く招待されてきた。
今年、釜山には日韓関係はどのように影響されたのだろうか。韓国を代表する映画祭であるため、その影響は心配されたが、今年も13本の日本映画が上映されることが決まっている。さらにそれだけにとどまらず「アジア映画人賞」には日本人である是枝裕和監督の受賞が決定、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞後第1作として話題の彼の最新作『真実』の上映も決定している。映画祭側によると「関係が悪化した7月以前にこの賞の授与は決定していたが、その後も変更するつもりはなかった。政治的見解や悪化した日韓関係とは無関係である」と発表している。
政治的に日韓を意識し左右されるわけではなく、素晴らしい映画を作ってきた監督へ、その功績を称えて賞を贈るだけのことだ、という淡々とした立場は素晴らしい。
もちろん、韓国人の中には日本映画を観たくないと思う人がいるかもしれない。観るか観ないかは、「個人の自由」なのでそれでもかまわないと思っている。ただし、観たいと思っている人、観てから判断しようと思っている人の「個人の自由」もあることを忘れてはならないし、邪魔するようなことはあってはならない。