最新記事

パックンのお笑い国際情勢入門

「下ネタは世界共通。男たちは同じオチで、同じ顔で笑う」早坂隆×パックン

2019年8月9日(金)19時50分
ニューズウィーク日本版編集部

「気遣い合う文化があるから、痛めつけるような空間に過敏」

パックン 取り上げている相手を本当にかわいそうだと思っていたら、笑えないじゃないですか。体制を突き落とすのは、体制が強いから。ちょっとバカにするのも、本当に差別意識が自分にないと思っている人だけしか言えない。だから僕はポーリッシュ系の(民族をネタにした)ジョークは、あまり好きではない。個人を突き落とすのも好きじゃない。でも群馬人はいい。群馬をバカにしても害がないから。あと、マックンがツッコんでくれるから、僕の「害」的な発言の害がその場で解毒される気がするんですよ。

毒性のある発言を正す人がいれば、多少「侵害」的な発言をしても、緩和されるんじゃないかと。特に日本には、忖度文化じゃないけれど、気遣い合う文化があるから、痛めつけるような空間に日本人は過敏なんだと思う。

もしかしたら日本のボケ・ツッコミというのは、ヨーロッパの「道から踏み外せよ」というような社会の多様性につながる効果というよりも、むしろ出ている杭を打つ効果があるのかもしれない。これは、いま思いついたんですが。

先ほど小話の話をしましたが、世界のジョークで、日本の昔からある小話に似ていると思うことはありますか。

早坂 時々ありますね。トルコに、日本の落語に近い感じの小話がたくさんある。よく「ホジャさん」というおじいちゃんが出てくる。

パックン へぇ。バカなキャラクターなんですか。

早坂 バカと言うか、もっと知恵があって、うまいこと言う。

パックン あー、とんち?

早坂 そう、とんち。一休さんです。そのとんち話で、日本で聞いたことあるような話があった。ジョークをいろんな国で集めていると、登場人物は違うけれど、同じだなと思うこともたくさんある。例えば下ネタみたいなものって、世界中どこに行っても同じ。イラクのバグダッドだろうがパレスチナだろうが、ニューヨークの酒場だろうが、同じところの同じオチで、同じ顔をして笑うわけですよ、男たちは。

パックン いい例がありますか。

早坂 下ネタですか!? 大丈夫ですか?

パックン 僕はテレビでは好感度を大事にしているけど、下ネタ大好きなんですよ。

「そのジョーク、ヨルダンで聞いて、設定が米軍兵士になってました」

早坂 えーと、そうですね。

お父さんと娘さんがいる。海水浴に行って、娘さんがビーチを見渡して、お父さんに聞く。「あの男の人たちの水着がふくらんでいるけれど、あの中には何が入っているの?」するとお父さんが「あれはね、笛が入ってるんだよ」とごまかす。それから数日後......。

パックン いやなオチだねぇ、これは!

早坂 娘さんが帰ってきて、お父さんに言う。「お父さん、嘘つき。音なんか鳴らなかったよ」って。

パックン 「吹いても吹いても、出てこないよ」って。

早坂 この手の下ネタって、アメリカでも分かるし、バグダッドのイラク人もげらげら笑うので、そういうのを見ていると、本当に同じ人間だなぁと。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中