ネット時代に生き残りかける映画館 料金細分化の韓国と格安定額制のアメリカ
映画料金の値上げを消費者団体が告発!
今回の3社の値上げ発表後、すぐに反対運動に動き出したのが韓国消費者団体協議会をはじめとする11の団体だった。13日には記者会見を開き値上げ反対を訴えた。その後、23日には3社が一斉に値段を上げたことに対し、公正取引委員会に告発。「韓国国内の映画館全体の97%を占める3社は事実上寡占構造である。他に安く良い商品を探すことのできるほかの品目とは違い、映画は観客が選択できない状態。マルチプレックス3社はより良いサービスを行うため競争しなくてはならないのにも関わらず、不当な共同行為を行っている」と訴えた。
しかし、映画1本の入場料が1万ウォン(=1,020円前後)だったら、日本の一般的な価格1,800円と比べて韓国の料金は安く感じるかもしれない。また、韓国ではよほど特別なとき以外、劇場で上映作品のグッズ販売は行っておらず、映画館で買えるものと言えば食べ物と飲み物ぐらいである。観客向けのパンフレットももちろん制作されておらず、マスコミ向けのプレスシートが日本でいうパンフレットとよく似ているが一般に出回ることは少ない。
そのせいか、ポップコーンや飲み物の充実度が高い映画館が多い。また、CGVは財閥のCJグループの傘下なので、映画館と一緒にCJ系列のカフェやレストランが併設されているところも多い。韓国人の知人が日本の映画館でのグッズの充実度やパンフレットに700円や800円も出して購入しているのを見て驚いたと言っていたのもうなずける。韓国の映画館では劇場に入ってからお金を落とすのは飲食だけなのだ。
割引きが充実しているアメリカ
では、アメリカの映画料金はどうなっているだろう。こちらはシネマコンプレックスのチェーンではある程度統一されているが、とはいえ千差万別である。ある映画館は安い料金で提供している代わりに音響やスクリーンの設備は古かったり、その反対に最新式の設備を導入しているところは10〜15ドルを超える料金だったり。
映画館の場所によっても料金が微妙に違っている。早朝割引や平日の曜日割引、さらに正午までならいくらといった細かい割引も多い。また、ミリタリー割引というものもある。こちらは現役だけでなく退役軍人にも適応される。軍人に敬意を持っているアメリカらしい割引である。徴兵制のある韓国でもたまに軍人割引を行っている映画館もあるが、特定の日のみだったり基地に近い街など一部のみのようだ。
日本では、レディースデーや映画の日に割引が行われているようだが、逆に一時的に値上げされたこともあった。2015年末に日本公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は、TOHOシネマズが一部の劇場で通常より200円高い2,000円で上映し話題となった。世界的に見ても高い入場料であるのに、これ以上の値上げは勘弁してほしいものだ。
韓国でも値上げのタイミングは、常に話題の大作と共に行われている。今回の1,000ウォン値上げについても「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」公開のタイミングに合わせて行われたという声がネットに上がっていた。