日本の写真は「自撮り、食べ物、可愛いペットが多い」
Photo by @johnny777
<そんな日本の「日常」を伝えるドキュメンタリー・アーカイブのプロジェクトが始まった。Everyday Japanクロニクルだ>
誰が撮ったか、有名か無名かはもはや関係ない。どんなカメラで撮ったかも然り。そもそもスマートフォンしか使っていない人も多い。
スマートフォンとSNS――とりわけインスタグラム――の登場以来、写真の力が増しているように思える。距離も時間も超え、写真がメッセージを伝え、共感を呼ぶ。インスタグラムに投稿された、遠い異国で見知らぬ誰かが撮った写真に、私たちは「いいね!」を押す。
そんな時代に生まれたのが、Everyday Africaというムーブメントだった。2012年、共にジャーナリストであり、西アフリカで米政府系ボランティア団体「平和部隊」に参加もしていたピーター・ディカンポとオースティン・メリルが作った1つのインスタグラム・アカウントから、このムーブメントは始まった。
アフリカの「普通の人々の生活」はどういうものかを伝えるEveryday Africaには、これまでにアフリカの写真家たちから4300点以上の写真が投稿され、フォロワーは現在37万人を超えている。昨年、写真集にもなった。
Everyday Africaはこれまでに、同じコンセプトのプロジェクトを他にいくつも誘発している。Everyday Middle East、Everyday Asia、Everyday Iran、Everyday USA、Everyday DPRK(北朝鮮)......。
そして昨年11月、視覚的にストーリーを伝えるプラットフォームであるChronicle(クロニクル)が、世界報道写真賞など多数の国際的な受賞歴がある写真家/ジャーナリストのQ.サカマキと組んで"Everyday Japan" Chronicleを立ち上げた。
Everyday Japanクロニクルとは何か。プロジェクトの中心人物であり、当ウェブサイトで連載を持つサカマキに、メールでインタビューを行った。
――そもそもEveryday Africaに始まるEverydayプロジェクトの特徴とは。
インスタグラムのEveryday Africaから始まったEverydayプロジェクトは、日常を通してステレオタイプでない人々の生活と物語を伝えていくもの。各国の「観光局推薦」的でない写真を中心にしたドキュメントだ。
各Everydayプロジェクトはそれぞれ緩やかに、そうした基準で繋がっている。ただし、それぞれが独自の路線でやってももちろん構わない。
――Everyday Japanについてはどうか。
インスタグラムのEveryday Japan は2015年8月に始まった。日本の日常、ときに観光的な写真も含むが、できるだけステレオタイプでないもの、あるいはニュース的な写真も含み、基本的にセットアップされた(設定が作られた)ものではないドキュメンタリーの物語を伝達するプロジェクトだ。
一方、2017年11月から始まったクロニクルのEveryday Japanは、そうしたものに加えて、その名の通り時系列を非常に重視しており、その点がインスタグラムにある他のEveryday プロジェクトと大きく異なっている。
言ってみれば、時系列を重視した日本の日常――ごく普通の日常から、ステレオタイプでないもの、あるいはニュース的なものまでを含む――のドキュメンタリー・アーカイブだ。