新しい中国を担う「意識高い系」中国人のカルチャーとは何か?
――改革開放政策によって、世界に開かれた初めての世代ということですね。海外の影響を強く受けているとのことですが、その中に日本も含まれていますか。
もちろんです。例えば無印良品は非常に高い評価を受けています。単純に売れているというよりも、シンプルかつ控えめなデザインや環境への配慮などのコンセプト、思想に対する共感があると思います。
また、ミレニアル世代は日本の映画やアニメを見て育った世代でもあります。作品中で描かれていたライフスタイルも影響を与えていると感じます。
――「フェスティバル/トーキョー」が紹介する中国ミレニアル世代の舞台、音楽、写真などのカルチャーは、私たちに何を伝えてくれるのでしょうか。
中国のミレニアル世代は、自分のライフスタイルをつくれる世代でもあります。単に海外のライフスタイルを真似するのではなく、その中から自分に合ったものを選択する世代です。
また、そこから進んで、自分独自のライフスタイルをつくり始める人たちも出ています。このイベントから分かるのは、そのようなミレニアル世代のライフスタイルに対する意識と変化です。また、彼らの日本に対する興味の方向性が見えてくるのではないかと思います。
バブル期の日本しかり、文化の繁栄には経済力が欠かせない。急激な経済成長を遂げた中国には、日本を含め世界中から怒濤のように文化が輸入された。新たな文化をシャワーのように浴びた中国人のセンスは今、経済同様、凄まじいペースで変化し始めているのではないか。
小山さんによると、ミレニアル世代の中国人はたんに輸入した文化を受け入れるだけではなく、取捨選択して自分たちのスタイルを築きつつあるという。技術の世界では今、中国発のイノベーションが注目を集めつつあるが、文化でも同じく中国発のトレンドが世界を席巻する日が近いのかもしれない。
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)。
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