アイビーに比肩する名門のリベラルアーツ・カレッジがある
小規模で柔軟性が高いリベラルアーツ・カレッジ
この「リベラルアーツ・カレッジ」ですが、いくつかの特徴があります。
第1は小規模ということです。1学年あたりの学生数が1000人前後以下という中で、カウンセラーや教授陣が個々の学生と家族的なコミュニケーションを取る雰囲気があると言われています。この点は、在学生や卒業生に聞くと重要な点だそうです。
第2は(厳密に言うと例外もあるのですが)、大学院を併設していないことです。院を併設していないということは、教授は院生の指導をしていないわけで、一見すると「最先端の学問から遠い」印象を受けるかもしれませんが、決してそうではありません。
むしろ、学部学生への指導のプロに徹しながら自分の研究に専念できる、つまり総合大学の教授陣のように、学部生指導+院生指導+研究という「三つのタスク」を背負っているわけではないので、より行き届いた研究ができるという評価もあります。
第3は、幅広い専攻科目を揃えている中で、主専攻(メジャー)と副専攻(マイナー)の選択の柔軟性が高いということが言えます。
例えば、バイオテクノロジーと美術史などという「意外な組み合わせ」を主専攻+副専攻にして卒業するなどということは、大規模な総合大学では学科によってキャンパスが異なるとか、専攻科目のプログラムが欲張りすぎていて、別分野の副専攻との両立が難しいなどの問題が生じることがあるわけですが、小規模で融通の利く単科大学の場合は比較的楽だと言われています。
第4は、これは意外な点なのですが、単科大学であり大学院の併設されていない「リベラルアーツ・カレッジ」の方が、意外と「ロースクール(法科大学院Law School)」や「メディカルスクール(医科大学院Medical School)」への進学実績が良いということが指摘できます。
柔軟なカリキュラム編成を活かして、「プリ・ロウ(法科大学院予科Pre-Law)」や「プリ・メッド(医科大学院予科Pre-Med)」のコースで高い評価を得ている場合があるのです。
そんなわけで、この「リベラルアーツ・カレッジ」というのは知る人ぞ知る存在として、アメリカの大学界の中で独自の地位を占めているのです。
※第3回:アメリカの女子大には「上昇志向の強い」女性が集まる はこちら