最新記事

世界遺産

熱海と大差ない、「世界一美しい」アマルフィ海岸

世界60カ国以上の世界遺産を訪れた旅行の猛者がぶった切る、ガッカリしないためのリアルガイド(2)

2015年7月27日(月)16時30分

高級リゾート地 地中海に面したアマルフィ海岸は、写真ではとても綺麗に見えるが、実際はそれほどでもない Mikadun/Shutterstock

 高いお金をはたいて、長時間の移動に耐えて、やっとたどり着いた旅先で「え? たったこれだけ!?」とガッカリした経験はないだろうか? それは世界遺産も同じ。「世界遺産は、素晴らしい観光地にあらず」と、世界60カ国以上、185件もの世界遺産に足を運んだ花霞和彦氏は言う。

 旅行の猛者である花霞氏が著した『行ってはいけない世界遺産』(CCCメディアハウス)は、「見どころ」と「コストパフォーマンス」をもとに世界遺産をぶった切った、これまでになかったガイドブック。20件の世界遺産を徹底検証し、本当に行く価値があるのか、値段と時間と労力に見合うのかを教えてくれる。

 第1回の「ご当地グルメに目がない人は行ってはいけない モン・サン=ミシェル」に引き続き、ここでは「熱海観光の後に行ってはいけない アマルフィ海岸」を抜粋・掲載する。

webWH24july2015-cover.jpg
『行ってはいけない世界遺産』
 花霞和彦 著
 CCCメディアハウス

抜粋第1回「こんな人は、モン・サン=ミシェルに行ってはいけない」はこちら

◇ ◇ ◇

元海洋国家のリゾート地

 アマルフィ海岸はナポリの南東に位置し、ソレント半島の南岸、サレルノ湾に面した海岸で、「世界で一番美しい海岸線」と言われています。中心都市アマルフィは、中世にナポリ公国から独立し、アマルフィ公国(共和国)となった歴史があります。地中海貿易の先駆者であり、初めて海商法を整備したこの国は、イタリアにおける商業の中心地として隆盛を極めました。

 そんな海洋大国も、現在は高級リゾート地として有名です。急勾配の斜面に張り付くように広がる街には、迷路のように階段や道が張り巡らされ、整備された近代都市とは違って歴史を感じさせてくれます。

 アマルフィという地名は、ギリシア神話の英雄ヘラクレスが愛した精霊の名に由来しています。ある日、突然死んでしまった精霊。それを嘆いたヘラクレスが世界で最も美しいこの土地に彼女を葬り、その名を付けた、とされています。

 実は、元々ここに行くつもりはありませんでした。ナポリで観光を楽しんだワタクシは、「青の洞窟」(世界遺産ではありません)を見るためにカプリ島に渡りました。神秘的に輝く静謐な美しさを堪能し、ナポリに帰るフェリーチケットを購入しようとしたところ、ソレント行きのフェリーを発見、思わず乗船したのです。アマルフィへは、ソレントからバスで約2時間。青の洞窟のついでに行けるなら好都合、なんて思ってしまったのが事の発端でした(ちなみに、ナポリからソレントへは電車でも行けます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

リクルートHD、4500億円上限に自社株買い M&

ビジネス

イオン、イオンモールとディライトを完全子会社化

ワールド

中国実弾演習、民間機パイロットが知ったのは飛行中 

ビジネス

中国の銀行、ドル預金金利引き下げ 人民銀行が指導=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身のテック人材が流出、連名で抗議の辞職
  • 4
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 5
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 6
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 7
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 8
    老化は生まれる前から始まっていた...「スーパーエイ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    令和コメ騒動、日本の家庭で日本米が食べられなくな…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 3
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 6
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 7
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 8
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中