最新記事

脅迫

ソニー・ハッキング事件の狙いは北朝鮮パロディ映画を葬ることだった?

ハッカー攻撃に続いて劇場へのテロ予告を受け、製作側のソニーが苦渋の決断

2014年12月18日(木)17時19分
ローラ・ブラッドリー

新手のテロ 12月11日のプレミア試写会は無事行われたが(ロスアンゼルス) Kevork Djansezian-Reuters

 ソニー・ピクチャーズエンターテインメントは17日、12月25日に予定されていた映画『ザ・インタビュー』の全米公開を中止すると発表した。

 この映画は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第一書記の暗殺計画を描いたコメディー。ソニーを標的にした大規模なハッキング事件に関与したと称するグループ「平和の守護者(ガーディアンズ・オブ・ピース)」がインターネット上に投稿した警告文で、この映画を上映する劇場にテロ攻撃を行うと宣言。アメリカの大手劇場チェーン4社が上映中止を決めたため、ソニーは公開を断念した。

「過半数の映画館が『ザ・インタビュー』の上映中止を決定した状況に鑑み、予定していた12月25日の劇場公開に向けての進行を止めることを決定した」と、ソニーは公式声明で説明している。「わが社はパートナーの決定を尊重し、理解している。言うまでもなく、従業員と観客の安全を最優先する彼らの関心を、われわれも完全に共有している」

 声明はまた、「ソニー・ピクチャーズは従業員と顧客と事業に対する前例のない犯罪的な攻撃の被害を受けてきた」と訴えている。さらに声明を引用すると──。


「わが社を攻撃した人々はわが社の知的資産と個人的な電子メール、さらには社内で慎重に扱ってきた所有権の絡むマテリアルを盗み、われわれの意欲と士気を挫こうとした。これらすべてが、彼らの気に入らない映画の公開を阻止するための攻撃だったと考えられる。映画の配給を妨害し、それによりわが社とわが社の従業員、ひいてはアメリカの一般の人々を傷つけようとする恥知らずな試みに、われわれは深く心を痛めている。われわれは映画製作者たちと、彼らの自由な表現の権利を守る立場にあり、今回の成り行きに非常に失望している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中