最新記事

脅迫

ソニー・ハッキング事件の狙いは北朝鮮パロディ映画を葬ることだった?

2014年12月18日(木)17時19分
ローラ・ブラッドリー

 ソニー・ピクチャーズは公開中止発表の前日、劇場チェーンが上映中止を決めても、契約を盾に「抗議するつもりはない」という声明を出した。それを受けて、大手劇場チェーンのリーガル・エンターテンメント・グループ、AMCエンターテインメント・ホールディングズ、シネマーク・ホールディングズ、カーマイク・シネマズが上映中止を決定した。連邦当局はソニーに対するサイバー攻撃とその後のテロ予告について捜査を進めていて、劇場チェーンは事件の全容が明らかになるまで公開を見合わせる意向だ。

『ザ・インタビュー』は、セス・ローゲンとジェームズ・フランコ演じるジャーナリストがCIAの指令を受けて、北朝鮮の最高指導者、金正恩の暗殺計画に乗り出すというストーリー。連邦政府の捜査官もソニーの調査チームも、ハッカー攻撃を行い、ソニーの内部文書を大量に流出させたのは北朝鮮と関連があるグループとみている。ハッキング後にネット上に出されたテロ予告には、こんな脅迫文句が並ぶ。「ソニー・ピクチャーズエンターテインメントがいかにひどい映画を作ったか、もうじき全世界が思い知らされることになる。恐怖が世界にあふれるだろう。思い出すがいい、2001年9月11日に何が起きたか」

 米国土安全保障省は16日、劇場への攻撃準備を示唆する形跡は見られず、テロ予告は信憑性を欠くとのコメントを出した。

 16日に上映中止を発表した4社の劇場チェーンは観客動員数で大きなシェアを占める。北米の映画館およそ4万館のうち、この4社の系列館は1万8000以上にのぼる。

 真っ先に上映中止を決めたのは、2000館余りを傘下に置く4番手の大手カーマイクで、関係者の話によると、直接ソニーに中止決定を伝えたという。他の3社は全米劇場主協会の仲介で電話で協議し、中止を決めた。今回の一件について同協会は次のような声明を出した。「われわれは事件の責任を負う犯罪者たちが1日も早く逮捕されるよう祈っている。それまで個々の劇場主がこの映画の上映を延期することはやむを得ない措置である」

© 2014, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中