『アバター』は『タイタニック』を超える!
ジェームズ・キャメロン監督の3D超大作が、興行収入記録を塗り替えるのも目前。その6つの理由は——
『タイタニック』が3カ月で達成した興行収入10億ドルを『アバター』は17日間で突破 ©2009 Twentieth Century Fox
ジェームズ・キャメロン監督の新作『アバター』がアメリカをはじめ世界各国で封切られてから3週間が過ぎたが、その勢いは留まるところを知らない。既に全世界で数十億ドルの収益を上げ、現在も数字を更新中。映画史上第2位となる興行収入を達成することは確実だ。
では、同じくキャメロンが手掛けた『タイタニック』の興行成績第1位の記録を破ることはできるのだろうか? 予想はいつだって難しいものだし、キャメロンの最新作ということもあって、評論家は『アバター』の今後を述べることには慎重になっているが......。
まず、実際のチケット販売数で『タイタニック』を上回ることはないだろう。しかし休暇シーズンの今の勢いを維持できれば、全世界で史上最高の興行収入(物価変動による誤差は考慮しない)を目指すことは十分可能だ。地球からはるか彼方の世界を舞台にしたアドベンチャー大作が、歴代トップの座に就けそうなのは次の6つの理由から。
1.最大の難関は既に突破した。
映画『ダークナイト』は、全世界で興行収入10億ドルを達成するのに7カ月かかった。『タイタニック』は3カ月近く。『アバター』はこれを17日という猛スピードで達成した。
映画のDVDリリース化という市場の圧力があるなかでは、もはや7カ月、8カ月も劇場上映を続けることはできない。『タイタニック』がそうだった。だが『アバター』にそれほどの長期間は必要ない。難関は既に突破しており、『タイタニック』の記録を破るまでたったの(たった!)8億ドルちょっとだ。
2.ライバル作品がない。
これまで、1月公開の映画といえばその年の「クズ」作品ばかりだったが、今年もそれは変わらないようだ。昨年12月には『アルビン/歌うシマリス3兄弟』の続編や『シャーロック・ホームズ』などが高い収入を上げている。しかし1月公開のメジャー作品は一週末に平均3作と少なく、前評判が高いものはデンゼル・ワシントン主演の『ザ・ブック・オブ・エリ』だけだ。
1月公開作品の低迷振りを味方につけたのが『タイタニック』だった。97年末の休暇シーズンに好成績を上げ、その勢いで収益の大部分を98年に稼いだ。『アバター』もこの時期的チャンスにのっているなら「歴代1位の座を奪うのは案外簡単だろう」と、興行収入調査サイト、ボックスオフィス・モジョのブランドン・グレイ社長は言う。「必見映画」という前評判を獲得しているし、「この時点で観に行こうと思っている人は、他に話題作があっても必ず観に行く」からだ。
『アバター』にとって最大の脅威は、同じく3Dを駆使した大作『アリス・イン・ワンダーランド』が3月に全米公開されるとき、3D上映劇場を譲らなければならないことだろう。
3.「目新しさ」の売り込みが成功した。
『アバター』を観たいなら、絶対に映画館で観るべきだ----見事な興行成績は、そんな口コミのおかげだろう。
配給元の20世紀フォックスは『アバター』を「一大映画イベント」に仕立てあげ、作品が醸し出す荘厳さや映像の素晴らしさを強調することでファンタジー映画やSF映画に飽き飽きした人々の興味をそそった。オンラインでDVDレンタルができる今の時代に、先手を打ったかっこうだ。
「自宅でも同じ体験ができる、と人々に思ってもらうのはとても難しい」と話すのは、映画情報サイト、ボックスオフィスプロフェッツのアナリスト、デービッド・マムパワー。「『アバター』は過剰なまでに期待されながら、その期待に応えた。おかげで、突然みんなが観に行きたくなるという、信じがたい成功を収めた」