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映画絶好調ハリポタを待つ最後の敵
公開初日に全米の興行記録を塗り替えた最新作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』。魔法使いのメガネっ子はあの映画界の伝説のヒーローを超えることができるのか
王者への道 過去のシリーズものの中でもハリー・ポッターの存在感は抜群 ©2009 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights cJ.K.R.
魔法の杖が武器のメガネっ子、ハリー・ポッターは銃を片手に映画界に君臨してきた同じイギリス人のジェームス・ボンドからその座を奪い取ることに成功したらしい。
7月15日午前0時1分に全米で封切られたシリーズ第6作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は初日だけで計2220万ドルを売り上げ、初回上映の興行記録を更新した。このままいけば、週末の興行収入も過去の記録を破るだろう。前売り券の売り上げもシリーズのどの作品よりもよく、、『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』に次いで史上2番目となる売り上げを達成した。
世界規模の盛り上がりを見ると、この魔法使い映画が「007」シリーズを超えるのは間違いなさそうだ。007シリーズの23作品は全世界で計50億7400万ドルを売り上げているが、ハリー・ポッターシリーズの5作目までの売り上げはそれにわずかに及ばない合計45億ドルだ。
米国内だけを見れば、ハリー・ポッター作品の売り上げは計14億1000万ドルで、スター・ウォーズ(シリーズ合計19億ドル)と007(16億ドル)、バットマン(ティム・バートンが監督を務めた89年のリメイク版からの7作品で14億5000万ドル)を下回っている。だが今回の第6作でこれらシリーズ作品を超えると見られている。
スター・ウォーズも敵じゃない
映画評論家たちは、ハリー・ポッターシリーズは今後の続編でも初回上映の売り上げ記録を更新できると考えている。シリーズ最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』(邦訳・静山社刊)の映画版は2作品に分けられる予定だ。「特にシリーズものの特徴だが、完結編が最高収益を上げる可能性がある」と、興行成績調査会社ボックス・オフィス・モジョのブランドン・グレイは言う。
本当にこの魔法使い映画は今後も好成績を継続できるのだろうか。望む限り継続できるだろう、と映画批評サイト「ロッテン・トマトズ」の編集長マット・アチティは言う。「ジョージ・ルーカスがずっと昔に制作を約束した続編3作品を実現しない限り、スター・ウォーズも敵ではない」
アカデミー賞を受賞した「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは、監督のピーター・ジャクソンとギレルモ・デル・トロが「続編」の製作を予定しているが、一般受けする作品にはなりそうにない。バットマンシリーズも再び成功が繰り返されることはないだろうと、グレイは言う。『ダークナイト』の大きな成功は、出演俳優の死というニュースが話題になったからだ。
最大のライバルは007シリーズ
過去40年で23作品を送り出し、6人の俳優が主役を演じ、多くの制作費が使われてきた007シリーズは、クオリティーにこそ一貫性がないがもっとも回復力がある。まるでハリー・ポッターに出てくるボルデモート卿のようだ。「今後10~12年で3、4作品が製作されれば007シリーズは再び返り咲く。ハリー・ポッターシリーズの最大のライバルはボンドになる」と、アチティは言う。「キャラクターがまだ生きている」
ハリー・ポッターの完結編を2作品に分けるのは賢明ではないかもしれない。グレイによると、その戦略はうまくいかない場合もありえる。「観客はどちらの作品も単独で満足できる仕上がりになることを期待しているし、成功にはそれが不可欠だ」と彼は言う。「(最後から2作目が)最終作に完全に頼りきるような作品になれば、成功は難しい」