ブログ世代のガールズライフ
自分をさらけ出す主人公
06年にMTVで放映がスタートして以来、『ヒルズ』は社会現象になった。若くて魅力的なブロンド女性が、バブリーな快楽の都ロサンゼルスでどんな生活を送っているかをのぞけるのが人気の秘密だ(パラマウント ジャパンよりシーズン3のDVDが5月22日に発売)。
コンラッド自身はこのドラマを、シナリオのない『セックス・アンド・ザ・シティ』に例える。『ヒルズ』の舞台はニューヨークではなくロサンゼルスで、大胆なセックスシーンはないけれど、目にするもののほとんどすべてが本物というのが大きな魅力だ。
このドラマのコアの視聴者は、不特定多数に私生活を公開することをためらわないブログ世代。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で自分のことを語る行為の延長線上にあるドラマとも言える。
大人には理解できないかもしれない。視聴者の大半は高校生か、高校生の子をもつ親だ。批評家も混乱ぎみで、ただの娯楽作品を難解な芸術作品のように扱っている。「視聴者の心をもてあそび、忠誠心を試すが、そうやって翻弄されることを視聴者は喜んでいる」と、ニューヨーク・タイムズのジーニア・ベラファンテは評している。
「やらせ」ではないかと疑う声もあるが、本誌の取材でコンラッドはきっぱり否定した。「撮影の仕方や大幅な編集のおかげで、シナリオがあるように見えるだけ」。ただし制作側の要請で、間を取ってゆっくり話すように指示されているらしい。
毎回山あり谷ありのストーリーを見れば、やらせを疑いたくなるのも無理はない。シーズン1では、ローレンはジェーソンとけんかばかりしていた。最終回にやっと2人が別れたときは、視聴者はわが事のようにホッとした。
だが次は、ローレンの親友ハイディ・モンタグが自慢話の大好きなブロンド男のスペンサー・プラットとつき合いはじめる。ハイディの女友達に片っ端から手を出し、自分がいかにクールかを語るスペンサー。視聴者は彼に怒りを燃やし、そのダメ男ぶりにあきれながらも画面から目が離せない。