ブログ世代のガールズライフ
早熟なティーンの共感を集める、私生活丸出しのリアリティードラマ『ヒルズ』とブログ形式でつづった『ゴシップガール』
赤裸々 実在の女の子たちのロサンゼルスでの生活を描写する『ヒルズ』
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波乱に満ちたギリシャ悲劇も『ヒルズ』に比べればかわいいものだ。
ドラマの主人公は、高校卒業後、ファッションの勉強のためロサンゼルスにやって来たローレン・コンラッド。ファッション誌「ティーン・ヴォーグ」のインターンとして働く学生だ。
シーズン1の最終回、ローレンはティーン・ヴォーグの編集長リーサから、夏の休暇中パリ支局で一緒に仕事をしないかと誘われる。夢のような話だが、ローレンは迷う。ボーイフレンドのジェーソン・ワーラーと、バカンスをビーチで過ごす約束があるから。
キャリアか恋人か。なかなか決断がつかないローレン。パリ行きの時間が刻々と迫り、カメラは空港でイライラしながらローレンを待つリーサの姿を映し出す。視聴者が息を詰めて画面を見守るなか、ローレンはどちらを選ぶのか......。
ついに画面は、ジェーソンに駆け寄るローレンの姿を映し出す。恋人を選んだ!
やがて夏が終わり、ロサンゼルスに戻った編集長は、パリ行きのチャンスをみすみす棒に振ったローレンに尋ねる。休暇はどうだったの? ローレンは黙って首を振る。今にも泣きだしそうな顔。ジェーソンとはけんかばかりで、結局別れてしまった。
どこがドラマチックなのかと、首をかしげたくなるかもしれない。だが『ヒルズ』は単なるドラマではない。実際の出来事をドラマ化した「リアリティードラマ」だ。脚本はなく、カメラはローレン・コンラッド(出演者は全員実名で登場する)を追い続ける。
現実の話なのに、構成はちゃんとドラマ仕立て。心の葛藤(大半は恋の悩み)からクライマックス(たいていローレンが女友達とけんか)、エンディング(そしてローレンが謝って仲直り)へという筋立ては、巧みな編集のなせるわざだ。『サバイバー』などのゲームショー的なリアリティー番組とは、そこが違う。