最新記事

インタビュー

「東大王」紀野紗良が「もっと早く読んでおきたかった」と悔やむ1冊の本

2022年1月14日(金)10時55分
朴順梨(ライター)

紀野さん自身、「北海道から1人で東京に来る」ことも、運をつかむ大きな一歩になった。東大に進学したことで、『東大王』のメンバーになれたからだ。

しかし最初から東大志望だったわけではなく、もともとは京都大学に行きたいと考えていたという。


子供のころから和菓子が好きだったので、和菓子の本場と言えば京都だなということで、なんとなく興味がありました。実際に小学生の時に何度か旅行したのですが、街の雰囲気に触れて自分の中の和心が目覚めたというか、京都という街が大好きになって。

だから、まず京都に住みたいと思い、そのために京大に行こうと考えていました。

invu20220109-20yrsoldbook-3.jpg

Photo:遠藤 宏

クイズ研究会1択だったが、謎解きサークルに出合う

3歳からバレエを習っていた紀野さんの夢は、ずっとバレリーナだった。しかし小学4年生になる頃から、「医師になりたい」と思うようになった。


祖父が耳鼻科の医院を開業しているなど、周りに医療関係者が多かったんです。祖父は患者の子供たちの不安を取り除くために、診察のかたわらマジックを披露していたりして、そういう姿がとてもかっこよく見えました。

それで京大医学部を目指したのですが、高校2年生になる春休みに現役東大生の話を聞く機会があり、「東大に行きたい」と思うようになりました。東大に入学すると理系・文系関係なく全員が2年間、教養学部に配属されます。そこで学部の垣根を越えた科目が学べると知り、いろいろなことを知りたい自分に合っていると思ったからです。

理科志望だったのですが、3類は進学先がほぼ医学部に絞られますし、1類で工学を学ぶのはちょっと違うなと思ったので、農学や理学、生物学などを幅広く学べて他より女子学生の比率が多い2類を志望しました。

晴れて現役合格したものの、最初のうちは環境に馴染めない部分があった。北海道と東京では空気そのものが違うし、有名校からの進学者は入学時にグループ化していて、声をかけにくい雰囲気があったと振り返る。


まず、東京に慣れることが大変でした。住んでいた部屋の近くを首都高が通っていたので、空気が淀んでいて毎日頭痛がしました。

あとは人間関係ですね。筑駒(筑波大学付属駒場中学・高校)や灘、桜陰など東大に何人も進学する学校出身者は、当然ながら入学時点ですでに知り合い同士。

私も同じ高校からの仲間は5人いましたが、女子は1人だったので、科類が違う子や他の地方出身者に声をかけて、コミュニティーを広げていきました。浪人経験者の中には「同じ予備校仲間」みたいなグループもあって、それも羨ましかったですね。

そんな紀野さんだったが、誘われるのではなく自分から「AnotherVision」というサークルのドアを叩いた。AnotherVisionは東大生を中心とした謎解き制作集団で、松丸亮吾が2代目の代表を務めている。

このAnotherVisionで培った力が『東大王』に役立っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中