「指導者なし、練習は週2回」東京理科大の陸上部員が学生日本一を獲得できた「秘密」とは
友田は成績評定も高く、指定校推薦で東京理科大への進学を決めたものの、大学で競技を続ける気持ちは一切なかったという。そのため、昨年10月から半年間全く練習をしていなかった。
「固定観念で、理科大で競技を続けるのは無理だと思っていたんですけど、大学に入ってもやることがないなと思って、陸上部に顔を出したんです。すごくいい雰囲気で練習をされていたので、結果はどうであれ、イチから頑張ろうと思いました」
東京理科大は都内の神楽坂キャンパス、葛飾キャンパス、千葉の野田キャンパスなどがあり、陸上部員は意外にも100人以上の大所帯だ。しかし、チームの全体練習は水曜日と土曜日の週2回しかない。使用できる競技場を探して、授業を終えた選手が集まり、一緒に汗を流しているという。
「1回の練習時間は水曜日が2時間半、土曜は3時間くらい。走る練習は1週間で、この2回だけです。あとは個人で週に1、2回ウエイトトレーニングなどをしています。その時間も1時間くらいですね」
強豪大学の場合、週6で全体練習があり、長距離種目では朝練習もある。しかし、前述したように東京理科大の場合は練習環境が大きく異なる。トレーニングに費やせる時間は1週間で7時間ほどしかないのだ。
「最初は趣味程度で続けられればと思っていたので、正直、ここまで伸びることは予想していませんでした」
本人が驚くのも無理もないだろう。半年間のブランクがあり、練習量は高校時代の半分以下にもかかわらず"学生日本一"になったのだから。そこにはどんなマジックがあったのか。友田はこう分析している。
「高校だと顧問の先生がメニューを決めます。気分が乗らない日もあったんですけど、大学では走るのは週2回だけです。弱点を克服するための練習をして、かつ、練習時間を大切にしようとする意識が強くなりました。1回1回の練習では質を高めています。東京理科大には指導者がいないので、自分で考えてできているのが好結果につながっているんじゃないでしょうか」
週6練習は古い? 努力の"仕方"を考える
友田は週3~4回のトレーニングで強くなったが、ほぼ毎日のように練習がある強豪校は多い。長年、高校・大学の陸上部を中心に取材をしていると、正直に言えば、たいして強くない学校の部活動でも週5~6日練習をしているというケースはたくさんある。