最新記事

スポーツ

「指導者なし、練習は週2回」東京理科大の陸上部員が学生日本一を獲得できた「秘密」とは

2021年11月7日(日)09時34分
酒井政人(スポーツライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

友田は成績評定も高く、指定校推薦で東京理科大への進学を決めたものの、大学で競技を続ける気持ちは一切なかったという。そのため、昨年10月から半年間全く練習をしていなかった。

「固定観念で、理科大で競技を続けるのは無理だと思っていたんですけど、大学に入ってもやることがないなと思って、陸上部に顔を出したんです。すごくいい雰囲気で練習をされていたので、結果はどうであれ、イチから頑張ろうと思いました」

東京理科大は都内の神楽坂キャンパス、葛飾キャンパス、千葉の野田キャンパスなどがあり、陸上部員は意外にも100人以上の大所帯だ。しかし、チームの全体練習は水曜日と土曜日の週2回しかない。使用できる競技場を探して、授業を終えた選手が集まり、一緒に汗を流しているという。

「1回の練習時間は水曜日が2時間半、土曜は3時間くらい。走る練習は1週間で、この2回だけです。あとは個人で週に1、2回ウエイトトレーニングなどをしています。その時間も1時間くらいですね」

強豪大学の場合、週6で全体練習があり、長距離種目では朝練習もある。しかし、前述したように東京理科大の場合は練習環境が大きく異なる。トレーニングに費やせる時間は1週間で7時間ほどしかないのだ。

「最初は趣味程度で続けられればと思っていたので、正直、ここまで伸びることは予想していませんでした」

本人が驚くのも無理もないだろう。半年間のブランクがあり、練習量は高校時代の半分以下にもかかわらず"学生日本一"になったのだから。そこにはどんなマジックがあったのか。友田はこう分析している。

「高校だと顧問の先生がメニューを決めます。気分が乗らない日もあったんですけど、大学では走るのは週2回だけです。弱点を克服するための練習をして、かつ、練習時間を大切にしようとする意識が強くなりました。1回1回の練習では質を高めています。東京理科大には指導者がいないので、自分で考えてできているのが好結果につながっているんじゃないでしょうか」

週6練習は古い? 努力の"仕方"を考える

友田は週3~4回のトレーニングで強くなったが、ほぼ毎日のように練習がある強豪校は多い。長年、高校・大学の陸上部を中心に取材をしていると、正直に言えば、たいして強くない学校の部活動でも週5~6日練習をしているというケースはたくさんある。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中