いま日本株を買っているのは誰なのか
売買主体ごとの特徴を知る
●売りと買いを極端に行動する海外投資家
「海外投資家が日本株の値動きを左右している」と言われることがあります。
売買シェアの7割を占めていることもありますが、彼らは各国の経済や金利環境、企業業績、あるいは政治情勢や地政学的リスクも含め、さまざまなファンダメンタルズの変化に敏感で、一度決めたストラテジーに忠実な売買を行います。
膨大な資金量を保有していることから、結果的に、株式市場の方向を決めるほどの影響力を発揮することになります。いったん「買う」と決めた場合は上値を追って買い、反対に「売る」と決めた場合は下値を叩いてまで売ることが多いので、外国人の売買動向は多くの市場関係者が注目しています。
買い金額と売り金額の差額(プラスなら買い越し、マイナスなら売り越し)が日経平均株価の水準を変えることも珍しくありません。
●逆張り志向の個人投資家
個人投資家は日本株の上昇局面で売り越し、下落局面で買い越すことの多い、いわゆる「逆張り」を行うところに特徴があります。利益確定を急ぐ傾向にあることや、一攫千金を夢見る人が多いのかもしれません。
ただし、IPO(新規株式公開)が多いときには、実態以上に売り越し額が大きく出る傾向があるので、注意したいところです(統計上、売りのみがカウントされるため)。
●個人の代替需要の投資信託
投資信託会社は個人などから小口のお金を集め、まとめて運用する特徴を持つので、新たな投資信託が設定されれば買い越しとなり、解約が相次げば売り越しとなる傾向があります。それゆえ相場に準じた動きとなり、相場を左右する主体とはなりにくいと言えます。
●自社株買いの事業法人
事業法人の売買は、主に「自社株買い」です。株主への利益配分の一環として、毎年1兆円以上を買い越している安定的な買い主体と言えるでしょう。相場が下落基調にある時は、一定の買い支え役として機能します。
●売り基調を継続する銀行・生損保
この主体の特徴は、持ち合い解消の売りを続けていることです。これまでそうであったように、今後も一貫して売り基調が続くことが見込まれています。
●売ることも買うこともある信託銀行
主に年金などを売買しています。世界最大の投資家とされる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、信託銀行を通じて売買を行っています。
GPIFは金額組み入れ比率の上限があるために、株価上昇局面では日本株の組み入れ比率が高くなり、リバランス(比率調整)のために売り越すことが多いです。一方、株価下落局面では、日本株の組み入れ比率が低くなるので、比率調整のために買い越すことが多いのが特徴です。
組み入れ比率の見直しなどがあると、大変注目される投資主体です。
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