最新記事

英語学習

英会話習得の秘訣は「努力を続けること」、ではその「続ける」方法とは?

2020年1月15日(水)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ハードルを絶対に失敗しないところまで下げるべき理由

クリアすべきハードルを、絶対に失敗しないところまで下げきろう。そう考えるヒントになったのが、小茂鳥氏自身が筋トレを習慣化しようとしたときの試行錯誤だったという。

小茂鳥氏は「明日から毎日1時間の筋トレをしよう」と考えて、24時間営業のジムに3回入会し、3回退会している。「毎日1時間の筋トレ」はまだまだ高過ぎるハードルだったのだ。こうした筋トレやダイエットの挫折については身につまされる人も多いだろう。

いくつかの挫折を経て、小茂鳥氏がたどり着いたのは、4回目の入会をした24時間営業のジムに、「ただ毎日通うことを30日間くり返す」ことからスタートする方法だった。徒歩5分の場所にあるジムにとりあえず行き、室内を1周して帰る。

え? たった、それだけ? と思うだろう。それだけなのだ。クリアしたら、次は「5分間、1種目だけ筋トレすることを30日間くり返す」。これもクリアできたら、次は「10分間、2種目、30日間」というふうに、ほんの少しずつハードルを上げていく。

簡単過ぎるタスクに挑むと、次のステップに進みたくて仕方がなくなる。そうした脳の働きを利用して、小茂鳥氏は筋トレの習慣化に成功したのである。

著書には、こうした苦い経験から生まれた習慣化のテクニックを英会話学習に応用するための具体的な道すじや工夫、スピーキングやリスニングの効率的な学習法が盛り込まれている。そして、後半には、メソッドを生かして、英会話を身につける実践パートも用意したという。

次に進みたくなるRPGの感覚でレベル100までクリアする


小茂鳥氏 究極的には、どんな方法でも英語に触れ続けていれば英語力は伸びます。でも、その伸びは髪の毛が伸びるのと同じように、自分では気付きにくい。昨日と今日の差が実感しにくいから、努力の継続は難しく、挫折しやすいんですね。

英会話学習に挫折してしまったという苦い思いを持つ人を減らすために、いちばん効果的で挫折しにくい方法を追求しています。本書の実践パートは英会話初心者や、何度も挫折してきた人に、楽しみながら「成功体験」を積み重ねてもらいたくて構成しました。

実践パートは、「外国人の友達をつくり、英語で会話できるようになる」ことを最終的なゴール(=大きな成功体験)に設定し、「小さな成功体験」を積み重ねる構成になっている。

レベル分けして記載し、3年後の自分像を日本語で手帳に書くレベル1からスタート。スマホを「英語表示」に切り替えるレベル12、好きな英語の歌をカラオケで完コピするレベル20と、小さなステップを100まで重ねていく。RPG感覚でレベル100までクリアしたとき、いつの間にか英会話力が身についているという仕組みだ。

グローバル化の中で、英語が話せないことが原因で不利益を被る人を減らしたい。あきらめずに勇気を持てば、必ず英会話は身につく――英語が苦手で、筋トレに何度も挫折してきた人物が編み出したスパルタメソッドというわけだ。

そのストーリーにはきっと、共感できるのではないだろうか。強靭な肉体も、流れるような英会話力も一日にしてならない。しかし、筋肉も語学も裏切らないのである。私たちが裏切らずに向き合い続けるかぎり。


スパルタ英会話――挫折せずに結果を出せる最速学習メソッド
 小茂鳥雅史、梅澤 翔 著
 CCCメディハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国国有の東風汽車と長安汽車が経営統合協議=NYT

ワールド

米政権、「行政ミス」で移民送還 保護資格持つエルサ

ビジネス

AI導入企業、当初の混乱乗り切れば長期的な成功可能

ワールド

米、数カ月内のウクライナ和平実現に懐疑的 ロシアに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中