最新記事

自己啓発

人と接するのが苦手? 周りと噛み合わない? 人間関係に効く「即興演劇」の技術

2019年10月31日(木)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

居場所作りに必要なのは「お題」

渡辺氏によれば、自分にとって居心地のよい居場所には、自分に対する「お題」と、それによって行動目的が明確に見える「役割」が必ずある。インプロのコミュニケーション術では、決められたお題のもとに役割を見つけ、どんな行動をするか、心をリアルに動かしながらトレーニングするという。

では、その「お題」とは何だろうか? それは「本音で語る」ことだ。インプロでも実際の人間関係でも、このお題に忠実でいられない状況では、自分の役割を見つけることができなくなり、その瞬間、人は居場所のなさを強く感じてしまう。

本音を語らないということは、何でも言えるということだ。本音を言ってもいいし、曖昧に答えてもいいし、嘘をついてもいい。自由過ぎて、かえって何も言えなくなってしまう。

お題として「本音で語る」という大前提があるからこそ、そこでの自分の「役割」がはっきりする。ここで言う「役割」とは、周りから必要とされる際に必要となるものだ。

人間関係だけでなく、社会的な居場所も

どんな集団であれ、意識的もしくは無意識のうちに、リーダー役や世話役、盛り立て役、イジられ役といった、何らの「役割」があるものだ。

そして、どんな役割であれ、本音で語ることができるのならば、それは自分にとって最適な役割であり、そこに自分の居場所を感じられる。無理をしてガラにもない役割を演じても、それは集団だけでなく自分自身にも嘘をついていることになり、居心地がよくなるはずもない。

ただし、どんな集団でも同じ役割というわけにはいかないし、同じ人間関係であっても、時間や状況の変化とともに居場所が変わることもある。また、役割と言うと、家族や友人、会社における人間関係だけを思い浮かべがちだが、そうしたミクロの居場所だけでなく、マクロの居場所、つまり社会的な居場所も作るべきだという。

ミクロの居場所のお題が「その集団やメンバーに本音で語る」であるなら、マクロの居場所では「社会に対して本音で語る」ことがお題になる。仕事や肩書きなど関係なく、社会に胸を張って「自分はこれに力を入れている」と言えることがあれば、それがマクロの居場所だ。

これら2つの居場所は切り離されて考えられる傾向にあるが、インプロにおいては、集団の規模は関係ないという。あくまでも「自分と他者との関係性」が集団であって、だからこそミクロの居場所とマクロの居場所の両方を確保しなければ人生のバランスが崩れることになる、と渡辺氏は指摘する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中