株価はどうなる? 決算発表前・直後・発表後にそれぞれすべきこと
【決算発表後】最も売られやすい要因
決算発表後の株価は、決算が出てみなければわかりません。特に最も大きく売られるのは、今期の業績予想が投資家にとって期待外れの数字だった場合です。
失望が売りを呼んだファナック・ショック
2018年3月期、ファナック・ショックと呼ばれる動きがありました。ファナック<6954>の事前の市場コンセンサスは2479億円の増益予想でしたが、会社側が出した業績予想は1638億円の減益。あまりに保守的な会社側の業績予想は市場の失望を誘い、株価は大きく下落しました。
元々、ファナックはきわめて保守的な業績予想を出すことで知られている企業です。2018年3月期も、期初から数えて3回も上方修正を出しています。それでも投資家にとって期待外れの数字であれば、大きく売り込まれる原因となるのです。
(参考記事:決算発表で上がった銘柄・下がった銘柄【2018年3月期:ファナック、ZOZOほか】)
嵐に翻弄されないために
何度も述べたように、決算発表によって株価がどんな動きを見せるは予測できません。その理由のひとつとして、アナリストによる企業への事前取材が禁止されたことが挙げられます。
以前は、証券会社のアナリストが決算発表前の企業を取材し、それをもとにレポートを出していましたが(決算プレビュー)、2016年9月から全面的に禁止されました。事前に企業側の数字を株価に織り込めるケースが少なくなったことで、決算発表後の株価の振れ幅がますます大きくなっています。
例えば、トヨタ自動車<7203>の2018年3月期の決算発表は、異例の場中発表ということもあり、大きな注目を集めました。そこで発表された業績予想は、市場コンセンサスを上回るポジティブサプライズとなり、その日のうちに株価は大きく上昇しました。
トヨタのような日本を代表する大企業でさえ、決算発表によってこれだけの値動きが起こります。決算発表はニュースでも大きく取り上げられ、相場全体がそわそわするため、自分も流れに乗りたい!と思ってしまうかもしれませんが、その焦りが大きな落とし穴になることも少なくありません。
株価が落ち着くのは、決算発表を受けてアナリストたちが決算内容を精査し(決算レビュー)、業績予想の修正を行って市場コンセンサスを形成する数週間後となります。急激な値動きに一喜一憂することなく、嵐が来たら「不要不急の外出」は避けることが賢明と言えるでしょう。
[筆者]
岡田禎子(おかだ・さちこ)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師も務める。現在テレビ東京系で放送中のドラマ「インベスターZ」の脚本協力もしている。 日本証券アナリスト協会検定会員(CMA) ファイナンシャル・プランナー(CFP ®)
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら