最新記事

投資の基礎知識

株価はどうなる? 決算発表前・直後・発表後にそれぞれすべきこと

2019年3月12日(火)06時35分
岡田禎子 ※株の窓口より転載

業績への期待は事前に株価に織り込まれている

本来は、決算発表で明らかにされた業績が市場コンセンサスを上回れば株価は上昇、下回れば下落する――というのが相場の基本セオリーです。しかし実際には、決算発表の前から株価への織り込みが始まっています。株価というのは、企業の将来を見通して形成されていくものだからです。

例えば、好調な決算が予想される企業の場合、決算発表までの間にそれが織り込まれて、株価の上昇につながります。すると、実際に発表された決算内容がどんなに大幅な黒字であっても、すでに株価に織り込まれている以上の内容でなければ、いわゆる「材料出尽くし」となって売られやすくなるのです。

空売りサイドの動きで株価が上昇することも

また、空売りで保有している人の場合、決算発表による株価乱高下のリスクを避けるために、一旦、手仕舞い(買い戻し)をすることがあります。空売りしている銘柄がサプライズで良い決算内容だと、株価が急上昇して大きな損失を被る可能性があるからです。

この動きによって、決算発表直前に株価が急上昇することがよくあります。それを知らずに、株価が動意したからといって新規に買ってしまうと、蓋を開けたら悪い決算内容で急落の憂き目を見る......などという痛手にもつながりかねません。

決算発表後の値動きは誰にもわからない

決算内容への思惑が事前に株価に織り込まれているということは、業績懸念で下げていた銘柄が、決算発表によってもう悪材料がないとわかったことで、赤字決算にもかかわらず上昇に転じる、というケースも当然あります。

しかしながら、決算発表後の値動きは誰にもわかりません。思わぬ急展開に見舞われないために、買いのポジション調整をして現金化し、決算発表に備えるという選択肢も検討してみてください。

【決算発表直後】需給による乱高下に注意

いよいよ決算が発表されます。直後は、様々な思惑が交錯した「需給中心」の相場となります。市場全体のトレンドから離れて、その企業の決算内容や銘柄独自の理由によって株価が大きく上下するのです。

第3四半期までは好調だった業績が第4四半期(本決算)で悪化するなど、上昇傾向だった銘柄が決算発表をきっかけにストップ安になったり、反対に、売り込まれていた銘柄が決算発表で新材料が出たことで、いきなりストップ高で買い気配になるケースもあります。

本決算直後に乱高下する要因は「業績予想」

特に本決算では、今期の業績予想が注目されます。企業の出した内容が市場コンセンサスより上か下かで、株価の振れ幅が大きくなるのです。

一般的に、大企業が保守的な予想を出す傾向にある一方、IT企業など新興企業は強気の予想を出すケースが多くあります。期中を通して、それらの予想と実際の業績と照らし合わせて確認していくことで、次の決算発表までの市場コンセンサスが形成されていきます。

ところが、決算発表直後は、企業の出した数字だけを根拠にして売り買いが行われることで、株価が乱高下します。特に近年はプログラム売買をしている投資家やヘッジファンドなどの台頭により、思わぬ値動きをすることが少なくありません。巻き込まれないように注意しましょう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中