最新記事

経営

人材採用に悩む中小企業が、P&Gの「儲かる人事」を真似るべき理由

2019年3月20日(水)18時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

人事の仕組みを作ることこそ社長の仕事

中小企業であっても、効果的で生産的な人事はできる。そのために必要なのは、各部署のリーダーがもう少し目配りと気配りをすることだ。そう聞いて、「わが社の部課長にできるだろうか」と不安に思うかもしれない。だが松井氏が指摘するように、「できない最大の原因はやらないこと」だ。

それは経営者にも言える。人事施策や人事戦略というのは、トップの決断があれば全て実行可能だ。優秀なスタッフがいなければできないわけではないし、松井氏によれば、人事部という組織も必ずしも不可欠ではない。それよりも、まずはトップ自身が人事について正しく理解することが重要だ。

特に「人事」と聞くと、人員の確保や適材適所の配置、あるいは昇進や昇格の評価といった信賞必罰・論功行賞のことだと考える人が多い。もちろん、そうした「後処理」も重要ではあるが、これだけでは「手段と目的を混同している」ことになり、正しい理解とは言えない。

人事の目的とは、会社のミッション(経営理念)を達成するために従業員の意欲を高め、最も生産性高く働けるようにすることだ。言い換えると、会社を儲けさせる人、組織に貢献する人を作ることが、人事本来の目的ということになる。評価や処遇は、そのための手段に過ぎない。

儲かる会社を作ることが社長の仕事なのだから、その意味において、人事こそが社長の仕事だ。ただし、社長がやるべきは「仕組み」を作ること。中小企業では、特に評価は社長の価値観によるものとなるため、ラインのリーダーたちが理解・共感し、それに従って評価できる仕組み作りが必要となる。

このように人事の基軸は、会社の経営理念にある。では、その経営理念とはどこから出てくるのかと言えば、それはやはり経営者自身だ。トップが人事に関心を持たないということは、会社を儲けさせることに関心を向けていないと言っても過言ではない。

「人事なくして人材なし」企業経営は人事そのもの

「マネジメントの権威」と称されるピーター・ドラッカーは「経営とは人を通じて成果を出す」ことだと言い、「経営の神様」松下幸之助は「企業は人なり」と述べた。まさに、企業は人によって成り立っているのであり、企業経営とは人事そのものだと言える。だからこそ、「人事の力とは社長の力」なのだと松井氏は訴える。

人事戦略・人事施策は、会社が儲かるための経営ツールのひとつだ。本書のタイトルには『経営戦略としての「儲かる人事」』とあるが、人事とは本来、「儲かる(会社にするための)人事」なのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中