「肩書のない人になりたい」はあちゅうの原点となった1冊
1人でも多くの人に「はあちゅうがいて良かった」と思わせたい
実際、はあちゅうさんは数々のトラブル、いわゆる「炎上」を経験してきた。しかし、炎上してバッシングされると傷つくものの、発信でついた傷は発信でしか取り返すことはできないと考えていると語る。
伝えようとしているのに伝わらなかったことより、私のメッセージを悪意によって歪ませ、その歪ませたメッセージをさらに別の人が受け取ることが、今のSNS社会においては怖いことだと思っています。でも、発信でついた傷は、発信し続けることでしかリカバリできない。
果敢に発信し続ける姿から強靭なメンタルを持っているようにも見えるが、実は傷つきやすく、日々その傷を抱えながら生きているのだと彼女は明かす。
傷つきやすいことは私の長所でもあると思っていて。人が傷つかないことで傷つくというのは、人が気付かないことに気付けるという特技にもなり得るから、アウトプットできるんですよね。
なので「こんな自分とどう付き合っていこうかな」と日々思いながら、でも傷つかないように生きようとするのではなく、傷つきながらも発信していこうってマインドを持つようにしています。なぜなら、強くなくても強いふりをして発信し続けたほうが、最終的には勝つと思うから。あとは長く活動していく中で「昔は嫌いだったけど今は好き」と言ってくださる方もいるので、時間が解決してくれるものはあるんじゃないかな。
「バッシングにくじけない方法は?」と問うと、「メンタルが強い人と共に過ごすこと」という答えが返ってきた。自分にない考えを相手から盗むことで、ひるまずに発信する勇気を育てられると言う。
メンタルの強い人って、ネガティブなことをポジティブに変換してくれるので、彼らからどんどん考え方を盗んでいくといいと思います。あとは自分の芯を持つこと。芯を持ちながら歩みを止めなければ、傷ついても強くなっていくはず。そうして発信し続けることでフォロアーも増えていくので、世の中に自分の主張が届きやすくなるんです。
でも......SNSで炎上するメンバーって、毎回ほぼ同じなんですよね(苦笑)。それはなぜかというと、一度の炎上で消えた人のことは誰も話題にしないから。「またあいつか」と言われるのは、発信し続けているということ。
だから今後も炎上して「またはあちゅうか」と言われることがあったとしても、1人でも多くの人が死ぬときに「はあちゅうがいて良かった」って思ってくれるように、これからもたくさんの人に触れるような発信をしていけたらと思っています。
しみけんさんと事実婚を選んだ理由は、「名義を変えなくてはいけないコストを、なぜ女性だけが支払わなければならないのか」ということに強い疑問を持っているからだという。そして同時に、社会の当たり前を疑う生き方をしたいからだと語る。
結婚したら入籍して、女性側の名字を変えるのが当たり前と思われていますが、私はそういう「当たり前」を、疑って生きていきたいんです。
この「当たり前を疑う」って、第1章の「5ドルを2時間で増やすにはどうしたら?」のエピソードに繋がると思うんですよ。だって普通だったら「5ドルを原資にして増やしていく」のが当たり前だと思いますよね? でもそれ以外の方法はいくつもあるし、当たり前ではないやり方に気付けた人こそ、社会を変える人になれるんです。
だから、この本はタイトルに『20歳のときに~』とありますが、30歳でも40歳でも年齢は関係なく、「自分の当たり前」にとらわれがちな人に勧めたいです。読んで頭を柔軟にすると、人生が変わるんじゃないかなと思います。
『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳/三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
【参考記事】起業家けんすうが10年以上勧めてきた1冊の本
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
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