最新記事

インタビュー

「肩書のない人になりたい」はあちゅうの原点となった1冊

2019年1月9日(水)11時20分
今井順梨

20yrsbookinterview190109-3.jpg

Newsweek Japan

1人でも多くの人に「はあちゅうがいて良かった」と思わせたい

実際、はあちゅうさんは数々のトラブル、いわゆる「炎上」を経験してきた。しかし、炎上してバッシングされると傷つくものの、発信でついた傷は発信でしか取り返すことはできないと考えていると語る。


伝えようとしているのに伝わらなかったことより、私のメッセージを悪意によって歪ませ、その歪ませたメッセージをさらに別の人が受け取ることが、今のSNS社会においては怖いことだと思っています。でも、発信でついた傷は、発信し続けることでしかリカバリできない。

果敢に発信し続ける姿から強靭なメンタルを持っているようにも見えるが、実は傷つきやすく、日々その傷を抱えながら生きているのだと彼女は明かす。


傷つきやすいことは私の長所でもあると思っていて。人が傷つかないことで傷つくというのは、人が気付かないことに気付けるという特技にもなり得るから、アウトプットできるんですよね。

なので「こんな自分とどう付き合っていこうかな」と日々思いながら、でも傷つかないように生きようとするのではなく、傷つきながらも発信していこうってマインドを持つようにしています。なぜなら、強くなくても強いふりをして発信し続けたほうが、最終的には勝つと思うから。あとは長く活動していく中で「昔は嫌いだったけど今は好き」と言ってくださる方もいるので、時間が解決してくれるものはあるんじゃないかな。

「バッシングにくじけない方法は?」と問うと、「メンタルが強い人と共に過ごすこと」という答えが返ってきた。自分にない考えを相手から盗むことで、ひるまずに発信する勇気を育てられると言う。


メンタルの強い人って、ネガティブなことをポジティブに変換してくれるので、彼らからどんどん考え方を盗んでいくといいと思います。あとは自分の芯を持つこと。芯を持ちながら歩みを止めなければ、傷ついても強くなっていくはず。そうして発信し続けることでフォロアーも増えていくので、世の中に自分の主張が届きやすくなるんです。

でも......SNSで炎上するメンバーって、毎回ほぼ同じなんですよね(苦笑)。それはなぜかというと、一度の炎上で消えた人のことは誰も話題にしないから。「またあいつか」と言われるのは、発信し続けているということ。

だから今後も炎上して「またはあちゅうか」と言われることがあったとしても、1人でも多くの人が死ぬときに「はあちゅうがいて良かった」って思ってくれるように、これからもたくさんの人に触れるような発信をしていけたらと思っています。

しみけんさんと事実婚を選んだ理由は、「名義を変えなくてはいけないコストを、なぜ女性だけが支払わなければならないのか」ということに強い疑問を持っているからだという。そして同時に、社会の当たり前を疑う生き方をしたいからだと語る。


結婚したら入籍して、女性側の名字を変えるのが当たり前と思われていますが、私はそういう「当たり前」を、疑って生きていきたいんです。

この「当たり前を疑う」って、第1章の「5ドルを2時間で増やすにはどうしたら?」のエピソードに繋がると思うんですよ。だって普通だったら「5ドルを原資にして増やしていく」のが当たり前だと思いますよね? でもそれ以外の方法はいくつもあるし、当たり前ではないやり方に気付けた人こそ、社会を変える人になれるんです。

だから、この本はタイトルに『20歳のときに~』とありますが、30歳でも40歳でも年齢は関係なく、「自分の当たり前」にとらわれがちな人に勧めたいです。読んで頭を柔軟にすると、人生が変わるんじゃないかなと思います。


20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳/三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス

【参考記事】起業家けんすうが10年以上勧めてきた1冊の本

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国検察、釈放後も尹大統領の刑事責任を公判で追及へ

ワールド

ルビオ米国務長官、10─12日にサウジ訪問 ウクラ

ビジネス

アングル:トランプ関税「朝令暮改」、不確実性にウォ

ワールド

女性の権利侵害に反撃訴え、国連事務総長が国際女性デ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 3
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 9
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中