金融庁も激怒した、日本の投資信託のイケてなさ
金融庁の「説明資料」を見れば分かる Toru Hanai-REUTERS
<投資信託のうち「アクティブ運用」のほうが魅力的に見えるが、気づかれにくい落とし穴がある。なぜ「イケていない」のか、3つのポイントから解説する>
投資信託には、大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは日経平均株価など各種指標に連動する「インデックス運用」、もうひとつは「アクティブ運用」で、ファンドマネージャーと呼ばれる運用担当者が自由に構成銘柄を選出します。
「ということは、金融のプロが運用してくれるっていうことだから、アクティブ運用のほうが良さそう」と思った人は要注意! 魅力的に見えるアクティブ運用も、実は気づかれにくい落とし穴があるのです。
実際、金融庁もアクティブ運用の投資信託にお怒りのご様子。では一体、何に対して怒っているのでしょうか?
日本の投信はイケていない⁉
金融庁が怒っている、その根拠ともいえるのが2017年3月30日に出された、その名も「説明資料」です。名前のそっけなさがお役所っぽいですが、この資料においてやり玉に挙げられているのが「日本の投資信託のイケてなさ」なのです。
どこがどれくらいイケていないのが、説明資料を見ながら確認していきましょう。
イケてない① 規模の大きい投信でアクティブ運用が多い
下図のように、日本では純資産額が多い=人気のある投資信託は、アクティブ運用100%です。一方、アメリカはアクティブ運用とインデックスがほぼ半々となっています。
これは、日本人がアクティブ運用が大好きだから、とも言えますが、その一方で、日本の金融機関がアクティブ運用を熱心に「推し」ているから、とも言えます。実は、金融庁が怒っているのは、まさに"そこ"なのです。
イケてない② 手数料が高い
投資信託の取引には手数料が発生しますので、金融機関としては当然、より多くの手数料を稼げる投信を売りたいところ。そう、アクティブ運用の投信は、インデックス運用と比べて手数料が割高な場合がほとんどなのです。
●投資信託の手数料ってどんなもの?
投資信託にかかる手数料は「販売手数料」と「信託報酬」の2種類です。
販売手数料とは投資信託の購入時にかかる手数料で、信託報酬とは管理手数料のようなものです。販売手数料のない投信は「ノーロード」と呼ばれて最近人気ですが、販売手数料が無料でも信託報酬が高い場合があるので、注意が必要です。
日本はアメリカに比べて明らかに販売手数料も信託報酬も高いことが、説明資料の表からもよくわかりますが、これは「インデックス運用よりアクティブ運用が多いから」と言えます。
アクティブ運用はインデックス運用のような「沿うべき指標」を持たない投資信託です。