金融庁も激怒した、日本の投資信託のイケてなさ
よって運用する側は、「あー、どの株選ぶのか考えるの大変すぎて、俺もう三日寝てないわー。金融のエリートって頭脳労働で日々大変なんすよねー」などと言って調査コストを上乗せしやすく、手数料を利用者(投資家)からせしめやすいとも言えるのです。
※本記事では、金融庁のお怒りを鑑みた表現を試みております。ご了承ください。
●実際のシミュレーションで日米比較してみた!
「手数料が高かろうが結果を出せれば問題なし」とも言えますが、結果はどうなのでしょう? 先ほどの日米比較の表の数字を使って「販売手数料込みで100万円の投資信託を買った場合」を考えてみます(ここでは税金は考慮しません)。
【日本】
・購入時:販売手数料3.20%(3.2万円)がかかる
・リターン:過去10年の平均リターンは−0.11%(−1,064.8円)
・信託報酬1.53%(−14,794.1円)が引かれる
↓
結果:95,2141円
【アメリカ】
・購入時:販売手数料0.59%(5,900円)がかかる
・リターン:過去10年の平均リターンは+5.20%(+51,693.2円)
・信託報酬0.28%(2,928.2円)が引かれる
↓
結果:1,042,865円
おそらく金融庁は、日米比較で日本にとって一番都合が悪く出るタイミングのものを資料にしていると考えられますが、それにしても、日本の投資信託のこのふがいなさです。タンスに100万円入れていたほうが資産を失わずに済む有様です。
金融庁の追及は続きます。
イケてない③ 信託報酬が高いくせにリターンがマイナス
まず、下のグラフにおいて、信託報酬が1.5%になると急に点の数が増えるところに注目です。「アクティブなんで、1.5%くらいの信託報酬は取らせてよ」と考えている投資信託が多いのでしょう。
しかし、信託報酬を1.5%としている投資信託の過去10年のリターンを見ると、平均で+1.27%、マイナスになっている投信が実に37.6%もあります。反対に、信託報酬が0.5〜1%という良心的な投信のほうが平均リターン+2.03%で、いい成績を出しているわけです。
がっつり手数料を取るところならいい仕事をしてくれるはず......と信じてアクティブ投信を買う人は多いでしょうが、決してそうとは言えないのです。
投信選びは慎重に
この資料は、手数料が高いわりに実績の悪いアクティブ投信をたくさん売っている金融機関に、金融庁がお灸をすえるために作られたものと推測されます。
しかし見方を変えれば、金融機関の窓口やホームページで大々的に宣伝されているアクティブ投信を、そのまま素直に買ってしまっている個人投資家が多い、ということでもあります。いま投資信託をお持ちの方は、年間いくら手数料が引かれているのかを、ぜひ計算してみましょう。
どの投資信託がどんな成績を残すかは、未来のことなので誰にもわかりません。だからこそ、自分が関与できる手数料にもっと敏感になったほうがいい----これが金融庁から投資家へのメッセージのように思えます。
[筆者]
網代奈都子(あじろ・なつこ)
30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら