あと10年、これが分からないビジネスパーソンは生き残れない
プログラミング言語は方言みたいなもの
プログラムは、メモ帳やメールと同じようにテキスト形式で書かれている。アルファベットと記号や数字が果てしなく並んでいる画面を見たことがある人も多いだろうが、コンピューターは、あれを上から順に1行ずつ読んでいき、与えられた指示を実行する。
そう聞くとシンプルに感じられるだろうし、実際のところ、ひとつひとつの指示はシンプルらしい。ただ、その量が膨大なのだ。上に述べた性質ゆえに、ごく単純な動きであっても、事細かに指示を与えないと、コンピューターは思いどおりの動きをしてくれない。
そうやってコンピューターに指示する際の、アルファベットと記号で書かれた暗号のようなものが「プログラミング言語」だ。プログラミング言語は、カンマ(,)ひとつにも意味がある。そうした約束事を守らないと、やはりコンピューターは読むことができない。
プログラミング言語は、ソフトウェア環境によって少しずつ異なっている。日本人には日本語で、フランス人にはフランス語で話しかけるのと同じだ。とはいえ、プログラミング言語はむしろ方言に近く、ひとつの言語を習得すれば、他の言語も大体使えるようになるという。
コンピューターウイルスも、その正体はプログラムだが、言語が違えば通用しない。イギリス人のブラックジョークが日本人には理解できないように、ウィンドウズ向けに書かれたプログラムであれば、どんなに悪質なウイルスであっても、マッキントッシュでは読めない。だから感染することもない。
だが、もしも読めるプログラムを与えられたら、コンピューターは素直に読んで実行してしまう。それが誰のどんな意図を持った指示なのかは、コンピューターには関係ない。指示を与えられたら、コンピューターはそのとおりに動かざるを得ないのだ。
万能のように思えるコンピューターも、結局のところ、人が与えた指示に従って動いているだけだ。だからこそ、その指示を与えられる人材が重要になる。AIやロボットに仕事をさせるにしても、そのプログラムを書く人間が必ず必要になるからだ。
仕事の効率を上げる武器になる
本書には、実際にプログラミングを体験するためのサンプルも紹介されている。複雑なものではないと言われても、ページをパラパラとめくった時点では、ちんぷんかんぷんでめまいを覚えるかもしれない。「変数」や「演算子」といった用語も頻出するので、文系人間はひるんでしまう。
しかしプログラミングは、今後、ビジネスパーソンに求められる一般的なスキルになっていく。少子高齢化が進んで労働力人口が減少すれば、多くの企業でプログラミングやIT分野の専門職を確保することが難しくなる。そうなれば、社内で何とかしなければならない。