会社を売って何が悪い? 起業に崇高な理念など必要ない
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<「働き方改革」が話題になっているが、自分の働き方は自分で決められるほうがいい。就職でも自営業でもない生き方――「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」の利点>
国会で今、働き方改革法案をめぐる議論が白熱している。裁量労働制の適用拡大を目指す与党に、野党は反発。「定額働かせ放題になる」「むしろ働かせ方改革だ」などといった言葉が、反対派からは上がっている。
その一方、起業後進国とされてきた日本でも、起業家の活躍が目立つようになってきた。メルカの山田進太郎、SHOWROOMの前田裕二、スタートトゥデイ(ZOZOTOWN)の前澤友作、Sansanの寺田親弘......。自分で会社を作れば、不本意な「働かせ方」に悩まされることもないだろう。
しかも、ただ起業するだけでなく、設立した会社を売るべきだと、31歳の起業家、正田圭氏は言う。それこそが時間とお金の両方を手に入れ、人生の選択肢を広げる生き方だというのだ。自分の働き方は、自分で自由に決められるのがいちばん良い。
15歳で最初の起業をし、ネット事業やM&A、事業再生などに従事してきた正田氏。現在はテクノロジーを活用した金融データ解析などを提供する会社、TIGALAの代表取締役を務めている。
正田氏はこのたび、自分のノウハウを伝え、起業して会社を売却する「文化」をもっと日本に広めたいと『サクッと起業してサクッと売却する――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』(CCCメディアハウス)を上梓した。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第1回は「はじめに」より。
はじめに――会社を売るのもトマトを売るのも同じ
僕はいわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。連続的に起業するとはどういうことかというと、会社を立ち上げて、売却して、また会社をつくって売却するということを飽きもせず延々と繰り返す人のことである。15歳の頃から、僕はこの連続的に起業することを生業にしている。
「会社を売った」というと、「会社を売るなんてとんでもない」とか「会社なんて簡単に売れるもんなんですか?」と返ってくることが多い。今でこそ、「起業して会社を売した」といえば、「おぉ、すげーな」とか「おめでとうございます」と言われたりすることも増えてきた気がするが、そうはいっても、まだ「何かいかがわしいことでもしたのではないか」とか「金に目がくらんでるんだ」と思われていることも多いかもしれない。
僕が本書を書いた目的は、この「会社を売る」という行動のメリットを皆さんに理解してもらうことにある。さらに言えば、「起業して会社をエグジット(売却)する」という「文化」を、日本でもっともっと普及させていきたいという強い思いがある。