「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆候、アメリカ独り勝ちはもう終わるのか?
それでもエコノミストは経済の方向性を注視している。FRB当局者がここ1週間でこの先のリスクを検証した際、全員がインフレと失業率のリスクは上振れ方向とした。
「軽度のスタグフレーション」は、RSMのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏が先週の連邦公開市場委員会(FOMC)に関する分析リポートに付けたタイトルだ。同氏は「通商面のショックの規模と強度を巡る不確実性が広がっている」と指摘、FRB当局者の見通しは「成長が鈍化してインフレが上昇するのに伴い、目先は穏やかなスタグフレーションが起きることを意味している」と述べた。
<最も居心地の悪い環境>
FRBのパウエル議長はFOMC終了後の記者会見で、マクロ経済のハードデータは依然としてしっかりしていると述べた。実際、悲惨指数は比較的低い水準にとどまっている。
だが景況感といったソフトデータは悪化している。このためFRB当局者は、関税の影響で物価が上がり続けても、企業は投資と雇用を見合わせ、家計は支出を削減する可能性があると考えている。
FRB当局者は、調査先企業の間で懸念が広がっていると指摘。雇用を維持しつつ物価を制御する任務を負うFRBが、スタグフレーションによって難しい選択を迫られる可能性を議論し始めた。
シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は21日、CNBCに対し、「スタグフレーションほど居心地の悪い環境はない。スタグフレーション局面では(物価安定と雇用最大化の)2大責務の両面で、状況が悪い方向へ進み始める。包括的な解答はない」と述べた。「関税の引き上げは物価を押し上げ、生産を減少させる。これこそがスタグフレーション的な動きだ」と語った。