最新記事
アメリカ経済

「メイド・イン・USA」に高いハードル...アパレル産業「国内回帰」の難しさとは?

2025年3月17日(月)09時13分

しかし、米国アパレル靴協会(AAFA)のスティーブ・ラマー会長は、業界全体でみると米国内生産の増加は緩やかにとどまると予想する。

ラマー氏は人手、必要な技術・知識・経験、原材料、インフラのいずれも衣料品と靴を大量生産する上で足りていないと指摘した。


 

労働競争力

米国人は、中国や他のアジア諸国で製造された安価なアパレル製品を買うのが当たり前になっている。AAFAによると、米国で販売される衣料品と靴の約97%は輸入品だ。輸入アパレル製品は国別で中国製が最も多いが、その比率は過去15年でベトナム製やバングラデシュ製の台頭とともに低下した。

一方、米国の衣料品生産は、各ブランドや小売り事業者が取引先を中国やベトナム、バングラデシュなど販売価格引き下げのために低賃金で労働力を確保できる地域に切り替えた影響で、1990年以降衰退が続いてきた、とマイアミ大学のヤオ・ジン准教授(サプライチェーン管理)は解説する。

准教授は「アパレル産業に関しては米国に戻る雇用はごくわずかだろう。なぜなら米国内の労働には競争力がないからだ」と話す。

ギャンバート氏の100人で操業している工場にとって、事業面で追加発注のもたらす効果は非常に大きい。しかし、工場の生産能力には限りがあるため、新規顧客との取引には慎重にならざるを得ない。

同氏は「操業に過重な負荷をかけ、既存顧客をないがしろにしたくないのは当然だ」と悩ましい気持ちを打ち明けた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米3月小売売上高1.4%増、約2年ぶり大幅増 関税

ワールド

19日の米・イラン核協議、開催地がローマに変更 イ

ビジネス

米3月の製造業生産0.3%上昇、伸び鈍化 関税措置

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 米関税で深刻な景気後退の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 9
    あまりの近さにネット唖然...ハイイログマを「超至近…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 10
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中