トランプ関税...市場に根強い「最終的にはドル高」の見方とは?
ウパディアヤ氏は、昨年ドル高をもたらした多くの要素はまだ健在で「ドルは依然として王様だ」と言い切った。
同氏は、実際米国の成長ペースは鈍化の兆しが出ているかもしれないが、なお他の主要国より高いと指摘した。米国の利回りもまだ相対的に高く、世界的な混乱期にはドルが安全な避難先だとの見方も根強い。
実際これまでドル弱気派は時期尚早の売りを仕掛けて手ひどいしっぺ返しを受けてきた。過去2年でドル指数は直近高値から5%前後下落した局面が2回(2023年10-12月と24年4-9月)あったものの、両方ともドルは数カ月で値を戻した。
昨年11月の米大統領選後にドルが5%近く上昇したとはいえ、トランプ政権のさまざまな国に対する関税が長期間発動される展開でドルに吹く追い風を、果たして市場が完全に織り込んだのかどうか疑問は残されている。
INGの外為ストラテジスト、フランチェスコ・ペソーレ氏は「特に欧州を標的とする関税は比較的長く適用されると想定する陣営にわれわれは属している」と語り、ユーロがいずれ対ドルで再び軟化し、足元1.08ドルのユーロ/ドルは年末に1.02ドル前後まで下がると見込んだ。
ニューバーガー・バーマンのシニア・ポートフォリオマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は、ドルは既に潜在的な上昇余地の大部分が実現しているとの考えから、ドルの戦術ポジションをやや売り持ちに傾けている。
しかし同氏は、貿易戦争が悪化すればドルが下げ幅を縮小する可能性があると言及。「(貿易戦争の)大規模なエスカレーションは恐らく織り込まれていない」と述べた。
UBSのストラテジスト、バシリー・セレブリアコフ氏も「トランプ氏による関税の脅しがある以上、ドル弱気派になるのは難しい」と認めた。