「トランプ関税」で守りに入る投資家、全面貿易戦争突入には懐疑的
物価押し上げ、成長下押し
アナリストの試算に基づくと、米国の関税は物価を押し上げ、経済成長と企業利益に重圧を加えかねない。
ゴールドマン・サックスのストラテジストチームは、カナダとメキシコ向けの25%、中国向け追加の10%という関税が全て発動されれば、S&P総合500種企業の利益は約2-3%減少すると予想。BofAグローバル・リサーチのストラテジストチームは、減益率が最大8%に達してもおかしくないと警告する。
ゴールドマンのチームは2日付のリポートで「企業経営陣が投入コスト上昇分を自ら吸収すると、利益率が圧迫される。最終顧客に転嫁すれば、販売数量が痛手を受けるかもしれない」と記した。
RBCキャピタル・マーケッツの米株戦略責任者を務めるロリ・カルバシナ氏は、一連の関税によってS&P総合500種が今年少なくとも5%下落するリスクが高まったとの見方を示した。
UBSグローバル・ウエルス・マネジメントのストラテジストチームは3日、年末のS&P総合500種が足元から約10%上昇するとの見通しは維持しつつも「米国の通商政策の道筋と落ち着きどころを投資家がもっとはっきり認識できるまでは、関税が市場に影を落とし、ボラティリティーをもたらす公算が大きい」と分析。地政学や物価上昇に関連するリスクの「効果的なヘッジ手段」として「金」を推奨した。
ロベコも先週終盤、安全資産とされる金と米国債の保有を増やした。マルチ資産戦略を統括するコリン・グラハム氏によると、市場が関税問題で過度に楽観的なのではないかとの懸念が理由だ。