最新記事
中国経済

中国経済の後退を止めるには、信頼回復という構造改革が必要だ

CHINA’S ECONOMY IN 2025

2024年12月16日(月)11時09分
黄益平(ホアン・イーピン、北京大学国家発展研究院院長)
住宅開発大手碧桂園

債務不履行に追い込まれた住宅開発大手、中国江蘇省鎮江の住宅開発大手碧桂園(12月5日) Photo by Costfoto/NurPhoto

中国のGDP成長率は2024年第1〜3四半期に、それぞれ5.3%、4.7%、4.6%と鈍化し、目標の5%前後を達成できないのではという懸念が高まった。最新のデータは、中国経済がついに曲がり角に差しかかったことを示している。

2021年前半のコロナ禍による最悪の都市封鎖から解放されても、中国人は銀行預金を積み上げ続けた。2020年1月〜2024年8月に、中国では個人の銀行預金が65兆4000億元(約1380兆円)も増加した。


中国政府はこの間、いくつかの支援策を導入したが、副作用を懸念して積極的な景気刺激策の実施は控えた。2008年の世界金融危機の後に政府が導入した大規模な景気刺激策は成長に拍車をかけたが、同時に不動産バブルをあおり、地方政府の債務を増やし、投資効率を低下させた。

2024年第3四半期末に、中国経済が成長軌道を回復するには一層の支援が必要であることが明らかになり、政府の政策は変わった。9月下旬、中国人民銀行の潘功勝(パン・コンション)総裁は、銀行の預金準備率と政策金利の引き下げ、株式市場を支援するための金融政策手段の創設という3つの措置を発表した。

10月12日には藍仏安(ラン・フォーアン)財政相が、新たな財政措置は地方の債務問題への対応、不動産市場の安定化、雇用支援に重点を置くと発表。その上で11月上旬、地方政府の債務借り換えを目的とした10兆元(約210兆円)規模のプログラムを発表した。

カルチャー
手塚治虫「火の鳥」展 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

スウェーデン、バルト海の通信ケーブル破壊の疑いで捜

ワールド

トランプ減税抜きの予算決議案、米上院が未明に可決

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、2月50.2で変わらず 需要低

ビジネス

英企業、人件費増にらみ雇用削減加速 輸出受注1年ぶ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 5
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 6
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中