電車の遅延が減る? AIカメラで豪雨対策...JR武蔵野線の新システム
融雪器の監視や動物の検知にも対応へ
システム導入以降、異常検知の事例はまだないが、もし発生した場合には、従来約3時間かかっていた修理時間を約1時間短縮できる見込みだ。また、従来は異常発生後1週間現地で経過観察を続けていたが、遠隔監視の導入により検査の省力化と品質向上、さらには働き方改革にもつながると期待されている。
さらに、システムでは「α(アルファ)」と呼ばれる統合管理ソフトを活用し、電力使用量や電流、電圧といった計測データを可視化。平常時と異常時の比較など詳細に情報確認でき、予防監視や予防保全への活用が可能となる。
加えて、クラウドサービスを活用した実証実験も進行中だ。パナソニックEW社 ソリューション事業本部エンジニアリング推進センター 村田康史氏は「クラウド化により、データ収集拠点が増えても一元管理が可能となり、運用の効率化が図れます」と、将来の展望を語る。
パナソニックEW社は、2025年にはこのシステムをパッケージ化し、融雪器など他設備の監視にも展開する計画だ。さらにAI機能を拡張し、動物の検知にも対応できる仕組みを目指している。2026年には事業化を見据えているという。
豪雨による水災害の増加が予測される中、鉄道インフラの安全確保は喫緊の課題である。こうした自然災害を完全に防ぐことは不可能だが、AI技術を活用することで被害を最小限に抑え、迅速な復旧を実現する。AIは我々の生活の安全性の向上に貢献するツールとして、今後ますますその存在感を高めていくだろう。
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