グローバル企業が「人材をかき集めている」...最強の学問「行動経済学」が、ここまで注目されているワケ
2024年11月15日(金)18時19分
プロスペクト理論とは、人が損失に対して過剰に評価する傾向を示した理論のこと。その心理的特徴の1つは「損失回避性」とも呼ばれます。1万円を得る喜びの度合いよりも、1万円を失うショックの度合いのほうが大きいというものです。
そのほか、参照点依存性もこの理論が示す特徴の1つ。私たちは意思決定の際に、絶対的な価値ではなく、ある参照点をもとに評価する傾向にあります。たとえばボーナスが90万円と思っていたのに100万円だったら自分の期待を上回るので満足度が高くなる。一方、110万円と期待していて100万円だったら満足度が低くなるんです。
この功績は、ダニエル・カーネマンの2002年のノーベル経済学賞受賞にもつながりました。プロスペクト理論で、人間が必ずしも合理的な意思決定をするわけではないことが、世の中に広まっていった。本当にすごい論文だなと思いましたし、大学院生の頃は、論文の用紙がボロボロになるくらい何度も読み返しましたね。