結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
英サンダーランドでは極右主義者による暴動が起きた(2024年8月2日) TheBearded_Skot-shutterstock
<近年、特に西欧で右派ポピュリズム政党が支持を集めているが、これもまた「民主主義のあるべき姿」の1つなのか──>
2024年6月の欧州議会選挙では右派ポピュリズム政党が大躍進。世界中で反グローバル・反移民の流れが加速する背景には何があるのか。
外務省時代から今まで世界97カ国でさまざまな国の人とビジネスや交流を行ってきた山中俊之氏が、世界の “政党” を切り口に解説する『教養としての世界の政党』 (かんき出版)より、一部を抜粋・紹介する(本記事は第3回)。
※第1回:なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」
※第2回:習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」に迫る
人は曖昧な状態に長く耐えられない
経済不振で混沌とした世の中では、極端な政党が誕生しがちです。なぜなら、極端なことは「わかりやすいから」「人々の不満を吸収しやすいから」。これは現在、世界で吹き荒れているポピュリズム(大衆迎合)とも密接に関係します。ポピュリズムについては後述します。
たとえば、くつろいでいる午後8時、夕飯中にいきなり停電したとします。延々と暗いまま、ネットもテレビも繋がらず、電話回線もアウト。何ひとつ情報もなかったらどうでしょう?
「ダメージ+先行き不透明」という状況は、パニックが起こりかねないほど、人を不安にさせます。曖昧な状態に長く耐えられるタフな精神力の持ち主は、そう多くありません。
逆にいうと、たとえ悪い知らせであっても現状がわかればホッとします。スマホに「大きな地震を感知したため、安全状況を確認しております」と自治体から通知が来たら、とりあえず落ち着けるのです。
仮想敵をつくり出し、大衆にアピールする
極端な主張をする政党の中には、白か黒かに単純化したわかりやすい主張を大声で述べ、仮想敵を「悪いのは○○だ!」とつくり出し、自分たちの権利を守ろうとするケースも珍しくない......。すると、大衆に好かれるポピュリズムの評価が上がります。
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